「平成17年度 国際協力機構監事監査意見」に関する対応について(報告)

平成19年7月

調達業務などの競争性向上について、経済性・効率性の視点

本邦における機材調達について

以上取り組みの結果、平成18年度では業者の新規参入(4社)が見られるとともに、平均競争倍率3.05倍(17年度2.62倍)に競争性が高まった。また、落札率83.4%(平成17年90.2%)は前年度に比べて向上した。

在外における現地調達について

1)平成17年度から18年度にかけて、指摘のあった中国、エチオピア、 ザンビア、フィジーを含む以下の調査団を派遣した。また、ニカラグア、ボリビアについてはメキシコで開催した周辺国調達セミナー等に招聘し、調達支援を実施した。

  • ケニア、エチオピア巡回指導 平成17年9月(JICA 2名、JICS 1名7日)
  • ザンビア、ガーナ調達指導 平成17年9月(JICA 1名、10日)
  • ホンジュラス、メキシコ巡回指導 平成17年11月(JICA 2名、JICS 1名14日)→周辺国セミナーにニカラグアの現地職員が参加
  • メキシコ、ブラジル在外調達支援調査団 平成18年11月(JICA 1名、JICS 1名14日) →周辺国セミナーにボリビアの現地職員が参加
  • 中国在外調達支援調査団 平成18年11月(JICS 1名、67日)
  • ソロモン諸島、フィジー在外調達支援調査団 平成19年1月(JICA 2名、JICS 1名7日)

2)また、在外事務所における調達機能の強化及び現地調達の競争性を高めるため、以下の調達支援を実施した。

  • 新規採用職員基礎研修2回(35名×2)、在外赴任者オリエンテーション(12回、140名)、ボランティア調整員研修(2回、82名)、専門家派遣前集合研修(7回、350名)、国内機関担当者セミナー(横浜、広島、兵庫)(3回、109名)
  • 在外調達支援調査団17調査団を延べ23ヶ国に派遣、うち7ヶ国で近隣国の現地職員を招聘してセミナーを実施した(日本人74名、現地職員101名)。

プロポーザル方式による契約について

現行のプロポーザル方式の枠組みの中で、より価格競争性の向上を図るために、従来の技術評価に加え価格評価も勘案する「質・価格両面からの競争方式」の検討を行っている。具体的には、現行の技術評価の基準ライン(50点以上)をクリアーした技術プロポーザルを提出したコンサルタント等について見積価格の評価を行い、技術と価格を一定の割合で総合的に評価する方法について検討中。

ローカルコンサルタントの活用と内規の作成について

ローカルコンサルタントの手引きにローカルコンサルタントの選定から評価までの一貫した手続内容を追記し改定を図る。必要に応じて在外調達支援要員(長期・短期)を派遣し在外事務所が作成するローカルコンサルタントの内規作成の支援を行う。また、「調達どこでもドア」を活用し、在外事務所が作成した内規等各種の調達情報を掲載し、その他在外事務所勤務する誰もがアクセスできるよう情報の共有化を積極的に進めていく。

無償資金協力事業の実施促進と入札状況について

事業効果と業務簡素化の視点

緊急援助隊、救助チームの派遣とその成果について

開発プログラムの下で協力隊員が活動する際の留意点について

事業の事後評価終了後のフォローアップについて

技術協力プロジェクト実施済案件現状調査として、終了後10年間アンケート方式により先方機関からの状況報告を得る方向で制度設計し、必要予算も確保した。平成19年度からの実施を予定している。

帰国研修員のJICA事業支援について

帰国研修員の事業への活用については、本邦研修の講師としての活用実績が増えつつある。これは、遠隔研修もしくは本邦招聘により、帰国後の活動状況を事例研究として報告してもらうもので、研修効果の向上に大きく役立っている。他方、平成19年10月を目処に帰国研修を対象とするWebサイトを開設し、国を越えた分野課題単位での帰国研修員のネットワーク化を促進する予定であり、これを通じて、研修事業に限らない事業のニーズと帰国研修員のリソースのマッチングを促進することとしたい。

国内施設の利活用率の向上について

引き続き研修員の受入時期の平準化等、従来からの施策を継続するとともに、平成19年度からJICA事業関係者向けの割引料金を設定した。これにより、市民参加イベント関係者、連携関係のある大学関係者、各種留学生(有償、無償資金協力によるものを含む)等のセンター利用の促進が期待できる。

本部と在外事務所との事務連絡体制について

機構内部の事務連絡の取扱については、法人文書取扱細則においてその用途を公電等の補足、督促等軽微なものに限っているとともに、電子メールは右事務連絡の手段の一つと定めている。実態上右ルールが必ずしも徹底されていないところがあったため、これまでも右徹底を指示してきたところ。なお、平成19年度からの公電データベース(業務公電をグループウェア上で授受する仕組み)を導入するのに併せ、電子メールによる事務連絡の送付の際は、送信者、受信者ともの上司に写しを送付することにより適切な電子メールの利用を図るよう、法人文書取扱細則を改定する予定。

また、在外機関との連絡文書の英文化の促進については、従来からのルールを適宜徹底してきている他、平成19年度からスピード翻訳サービス(48時間以内に翻訳)を導入すること、及び改革の総仕上げの一環としてさらなる英文化可能な文書の洗い出しを行うことで英文化促進を図っていく所存。

その他

年度計画と部署別年間業務計画とのリンケージについて

PCI問題への対応について

(1)事態の概要

コスタリカ国における開発調査「コスタリカ国テンピスケ川中流域農業総合開発計画調査」案件において、機構(JICA)が契約を締結したパシフィックコンサルタンツインターナショナル(以下「PCI」という。)と同社が業務の再委託をしたコスタリカ国土地理院の間の取引において、同地理院への資金振込等について不明朗な点があるとの相手国からの資料提出依頼があった。

これに端を発しその後、機構(JICA)において過去5年間(平成12年度から16年度)PCIが受注したすべての現地再委託業務を含む業務実施契約案件数を調査したところ、その対象は上記農業案件を含め51ヶ国85案件451再委託契約あることが判明した。このうち、機構(JICA)の在外事務所が存在せず現地の状況が伝わりにくい国で実施された案件を中心に11ヶ国11案件の現地再委託業務について現地で再委託先への確認調査を行ったところ、コスタリカの上記農業案件1件(不正金額19,568,928円)に加え、新たに4ヶ国4案件(同15,361,089円)において、契約の水増し、契約の相手方が存在しない架空の契約があるなどの不正行為が判明した。

その事態を踏まえ残りの全案件についても調査を行った結果、更に11ヶ国13案件において経理処理や精算手続きが適切でなかった事態(これらにかかる金額は現在精査中)が判明した。ただし、PCIは、この11ヶ国13案件にかかる金額については、事業に必要な他の経費に流用したり、再委託する予定であった業務そのものを自ら実施したと説明をしており、機構(JICA)としては、今後PCIが実施した業務の内容、証憑等の精査を引き続き行い、不正金額があるか否かの検討を行い、あればその額の確定の作業を行うとともにその返還請求を行うことが必要となる。

結局、全体として15ヶ国18案件で、不正も含めた不適切な経理処理(コスタリカ国ほか4ヶ国4案件にかかる金額34,950,544円及び現在精査中の11ヶ国13案件にかかる金額)が行われていたこととなる。

(2)機構(JICA)のとった措置

ア 指名停止措置
当初2ヶ月の指名停止措置をとったが、調査結果の事態の進展に応じて、停止期間の延長を行い、最終的には規程上最も長い18ヶ月(平成16年9月15日から18年3月20日まで)の指名停止措置をとった。
イ 不正請求額の返還
調査の結果、当該プロジェクトの経費に充てられたと認められる一部の金額を除き、確認できないものについてはすべて不正金額として利息及び消費税分を加算し返還させることとした。(既に不正金額として確定した、コスタリカ国農業案件ほか4ヶ国4案件の34,950,544円については、その額に利息及び消費税分を加算した額48,541,853円を返還させている。)
ウ 再発防止策
再発防止策については、外部有識者を交えた検討委員会での審議結果を踏まえて、現地再委託契約の事後のチェックの強化と事前手続きの合理化・効率化等の両面から見直しを行って、その結果、従来の再委託契約手続き要領を改訂し、「コンサルタント等契約における現地再委託契約手続きガイドライン」として取りまとめ、機構(JICA)職員、コンサルテイング企業に説明を行い、ホームページでも公表を行っている。

改正の主な点は次の通りである。

等が主な変更点である。

このような再発防止策がとられることにより、基本的に同種事態の再発は防止できる体制は整ったと思われるが、その実効性を確保するために、今後の厳正、かつ、的確な運用が望まれるところである。
また更に、不正金額の確定していないものについては早急に精査を行い、返還額を確定させる必要があると認められる。

(3)対応状況

以上