日本式経営を学ぶベトナム ホーチミンの優良企業経営者が関西に!
2025.06.18
近年、急激な成長を遂げ、注目を集めているベトナム経済。ベトナム日本人材開発インスティチュート(Vietnam-Japan Institute for Human Resources Development / VJCC)は、日本・ベトナム両国政府の合意のもと、国際協力機構(JICA)と外国貿易大学(Foreign Trade University/FTU)の協力によって設立された国際人材育成機関です。VJCCでは、未来の国造りに携わる人々を対象として、戦後経済成長の経験や知見を有する日本の強みを生かした実用的なセミナー、ワークショップ、現場指導などを提供する「経営塾」を開講しています。経営塾は約10か月間のプログラムで、その集大成として約10日間の日本研修が行われます。
今回は、注目のベトナム経済をけん引するホーチミンから31名の塾生(ベトナム人経営者)を関西に迎え、日本企業の訪問や経営者の講義で学び、ビジネス交流会で実践するという充実のプログラム(5月13日~5月21日)が行われました。
参加者は大阪・兵庫の7社を訪問し、講義や視察の中で生産管理、人材戦略、競争優位性、企業理念、DX、イノベーションについて学びました。
日本テクノロジーソリューションズ株式会社(神戸市)への訪問では、岡田社長から人的資本経営とイノベーションの重要性について講演が行われたあと、同社を含む5社によるパネルディスカッションを通してイノベーションに必要な経営理念について考えました。
日本テクノロジーソリューションズにて
株式会社天彦産業(大阪市)では、人材育成、福利厚生の充実等を通じて企業風土改革に成功した事例を学びました。人事担当業務を担っている参加者からは、「様々な工夫で社員のモチベーションアップが図られ、会社の業績に繋がることを学べた」との声がありました。
天彦産業にて
また、総合商社「鈴木商店」のハッカ事業を継承した老舗企業、鈴木薄荷株式会社(神戸市)を訪問。同社の薄荷の原料調達先は現在主にインドですが、ベトナムにも調達ルートを確立すべく現地での栽培・製造の歩みを進めているとの説明を受け、化学薬品関連の企業を経営する参加者は熱心に質問をしていました。
鈴木薄荷社屋前で
5月16日には大阪の心斎橋(TKPガーデンシティPREMIUM心斎橋)で約70社の日本企業が参加し、ホーチミン企業28社(繊維製品、金属加工、水産加工、精密機械加工、農産物・食品の生産加工、プラスチック包装材、IT、AI など)とビジネス交流会(JICA主催、VJCC・大阪産業局・神戸市商工会議所共催)を行いました。これまでにない数の日本企業から応募をいただき、ベトナム市場への関心の高さがうかがえました。
第1部のセミナーでは、ベトナム人経営者より「経営塾での学び・日本企業との協業について」とのタイトルで発表があった後、株式会社ナガオカの西村氏が登壇して「JICA中小企業SDGs・ビジネス支援事業によるベトナムでの事業展開の事例」として自社の取組を紹介しました。参加企業からも高評価で、他の事例も知りたいなどの声が上がりました。
第2部では日本企業とベトナム経営者との交流会を行いました。
実際に商談や発注に向けた話も進み、とても活発な交流の機会となりました。
活発なビジネス交流が展開された
今回ご夫婦で参加のホアさん(左)、チャウさん(右)。十数年前に在ベトナム日本企業で縫製の仕事をしていましたが、独立し、ミシン3台からバッグの製造ビジネス(Domingo Co., Ltd)を始めました。現在ではバックパック、トラベルバック、スノーボードバッグ、プロモーションバッグなど多様な製品を月間約2万個製造しており、OEMサービスも提供。北米、欧州、アジア諸国等へ輸出しています。今回のビジネス交流会で、早速試作・見積依頼を受けることができました。ご夫婦の穏やかで誠実さあふれる笑顔が印象的でした。
車のシートベルトから作ったバッグなど自社の製品を紹介するホアさんとチャウさん
「大阪府とホーチミン市との産業・貿易・投資に関する交流協定」締結より 30 周年の本年、このような活発なビジネス交流が関西で行われたこと、そしてまだまだその需要が拡大していることに大きな意義を感じます。
今回参加した31名のホーチミンの経営者が日本で得た知見を自身のビジネスに反映し、日本・ベトナム間の経済関係強化につなげていくことを期待しています。
閉講式
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