JICA留学生の活躍をご紹介! ~コートジボワールのドヴィさん~

研修コース名:ABEイニシアティブ(2021~2023年度)・2021年度・第8バッチ・神戸情報大学院大学情報技術研究科(修士課程)(※1)
研修期間:2021年10月1日から2023年12月16日まで

2023年9月に神戸情報大学院大学(KIC)修士課程を修了後、株式会社○(マル)にてインターンを経験。アフリカと日本の懸け橋となって活躍中の、ニョナ・ドヴィ・セルジュさんをご紹介します!

アフリカと日本の懸け橋に!!!

 ドヴィさんはアフリカのトーゴ共和国出身、2021年にJICA留学生として、コートジボワール共和国から来日しました。大学院では、モバイルマネーの威力に着目した修士論文を執筆し、アフリカCFAフラン圏(※2)14か国内での信頼性の高い自由な送金を可能にするアプリTOSHIを開発。このドヴィさんの研究はKICからも高く評価され、2023年度の修了式では「探究実践賞」を受賞しました(写真1)。

 また、2023年8月、岐阜県を拠点にNPO法人JAPAN CONNECT(www.japanconnect.org)を創設し、企業交流会等を通じたネットワーク作りなど、アフリカと日本の民間企業をつなぐ活動を精力的に展開しています(写真2)。

 さらに、株式会社○での3か月のインターン期間中に、メタバース情報工学学校のアフリカ進出への第一歩として、コートジボワールの大学との契約締結を実現。ドヴィさんの功績は、駐日コートジボワール共和国大使からも表彰されました(写真3)。

写真1:「探究実践賞」受賞(2023年9月16日、神戸情報大学院大学での学位授与式にて)

写真2:NPO法人JAPAN CONNECTにより「Gifu-Abidjanビジネスフォーラム2023」開催(2023年8月28日、岐阜市にて)

写真3:コートジボワール大使より表彰されたドヴィさん。指導教官の高原敏竜特任教授と共に(2023年12月2日、駐日コートジボワール共和国大使館にて)

~ドヴィさん、そもそもどうして留学先として日本を選ばれたのですか?

「日本への憧れは子供の頃からありました。近所でテレビやラジオの修理を教わりましたが、これら電子機器のほとんどが卓越した品質で有名な日本のもの。この幼い頃の体験は、私のエレクトロニクスへの興味を掻き立てただけでなく、日本の技術や革新に対する深い憧れを植え付けました。さらに、日本のアニメに対する長年の情熱や日本文化への興味は、自然に私を日本へと導きました。」

~日本での留学とインターンシップを終え帰国されますが、日本で一番心に残ったことは何ですか?

「ロボットエンジニアとして、私はプロセスに大変興味があります。日本のあらゆるものにおいて、プロセスに細心の注意が払われていることはとても印象深いです。これは、伝統芸術における職人技(昨年和歌山県で地元の手漉き和紙を使ってうちわ作りをしたことを思い出します。)(写真4)から公共交通機関の効率性まで、日本の文化や社会の様々な面に表れています。日本人のプロセスに対するアプローチは、寿司作りであれ、茶道であれ、電子機器の製造であれ、細部への深い敬意、正確さ、完璧さへの絶え間ない追求が伴っています。このプロセスへのこだわりは、高品質な結果を保証するだけでなく、尊敬、規律、継続的な改善という広範な文化的価値を反映しているように思います。」

写真4:JICA留学生の「地域理解プログラム」(※3)へ参加。右から3番目、自作のうちわを手に持つドヴィさん。(2022年11月6日、和歌山県有田川町清水「体験交流工房わらし」にて)

~ドヴィさんが受賞されたKICの「探究実践賞」とは、どんなものですか?

「この賞をいただいたことは、私にとって画期的な出来事でした。この名誉ある賞は、特に課外活動や研究プロジェクトを通して、ICTを社会イノベーションに役立てようとする私の強い思い入れを認めてくれたものです。私のプロジェクトは、社会環境に関連する様々な問題に取り組むことに重点を置き、テクノロジーがいかに社会に前向きな変化をもたらす強力なツールとなりうるかを実証するものでした。今回の受賞は、私の取組みが、新たな視点から社会を捉え、ICTを活用してコミュニティを変革し、BOP市場や海外分野に影響を与えるソリューションに積極的に取り組むという「探究」の理念に合致していることを示すものです。」


~次の大きな目標は何ですか?

「帰国後は、友人たちと立ち上げたNPO法人JAPAN CONNECTの成功のために全力を注ぎます。私たちのNPOの基本的な使命は、日本とアフリカの民間セクターの橋渡しをすることです。両地域の真のニーズに対応し、それを満たす有意義なコラボレーションやパートナーシップを促進することを目指しています。日本の技術的な専門知識と革新的なアプローチを活用し、アフリカのユニークな洞察力と機会を組み合わせることで、双方に利益をもたらす持続可能でインパクトのあるソリューションを創造します。このイニシアティブは、私の個人的・職業的目標に合致しているだけでなく、グローバルなレベルでの協力とお互いの発展を目指すものです。また、NPOでの取組みと並行して、私はIoT機器の会社Dovasmarthome.comのさらなる発展にも尽力します。この会社の次の段階は、特に高齢者向けに特化した新技術を日本市場に革新的に導入することです。高度なAIをIoT機器に統合し、高齢者の生活の質、安全性、自立性を高めるソリューションを生み出す計画です。これは、技術的進歩の重要な一歩を示すだけでなく、最先端のソリューションを通じて高齢化社会のニーズに対応するという、社会的責任への深いコミットメントをも意味しています。」

~5人のお子さんのパパでもあるドヴィさん。子供達にはどんな人になってほしいですか?

「私が一番願っているのは、子供たちが優しく、共感力があり、たくましい人間に育ってくれることです。世界に対して好奇心を持ち、自分の興味あることに熱中し、他人を尊重する。そして、努力することのみならず、思いやりや困っている人を助けることの大切さも理解できるようになってほしいです。最終的に彼らが人生でどんな道を選ぼうとも、幸せと充実感を見いだせることを心から願っています。」

日本とアフリカの懸け橋となり、アフリカと日本の課題解決に取り組もうとするドヴィさん。パパの大きな背中を見ながら育っていく子供たちの輝かしい未来のためにも、ドヴィさんの活躍が期待されます!!!


※1:JICAの留学プログラム「ABEイニシアティブ」(アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ「修士課程およびインターンシップ」)
※2:CFA(セーファー)フランは、旧フランス領西アフリカなどで使用される共同通貨。
※3:JICA留学生が日本の近代化の歴史や発展を深く知ることを目的としたプログラム。


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