国境を越えた教員交流!ヨルダンと日本の先生たちが特活で繋がる
2024.08.08
現在、ヨルダンでは特別活動(特活)を通じて子どもたちが学校で社会性を育むことを目的とした草の根技術協力を行っています。今回は、ヨルダンの教員約30名と埼玉県の教員がオンラインで繋がり、特活をテーマに交流研修を行った様子をご紹介します。
特定非営利活動法人 国境なき子どもたち(以下、KnK)は、ヨルダンにて、子どもたちの社会性を育むことを目指し、草の根技術協力「特別活動の継続的実施と普及のための基盤整備事業」を実施しています。首都アンマン県やザアタリ難民キャンプを含む合計27校の学校にて、日本ではおなじみの日直や学級会、縦割り班活動などの「特別活動」(以下、特活)を実践。教員向けの研修や保護者の参加の促進を通じて、活動の普及と継続を可能とする仕組みづくりに取り組んでいます。実際に、特活に取り組んでいる学校では、人前で話すことが苦手な生徒が、日直の活動を通じ、人前で話すことができるようになった!という声もあがっています。また、特活が生徒と保護者が話すきっかけにもなっているようで、現場の口コミから、新しく特活を取り入れたいと希望している学校にも取り組みが広がっています。
今年2月にヨルダンの現場を視察した際のレポートは、こちらになります。現地の活動の様子がより伝わるかと思いますので、もしよろしければ、ぜひご一読ください。
ヨルダンの学校で広がる日本の特別活動(特活)の意外な効果とは | 日本での取り組み - JICA
アンマン県の学校での日直の様子
ザアタリ難民キャンプ内の学校での朝の会の様子
ヨルダンで特活の取り組みが広がる中、特活の知見を持つ埼玉県の先生方とヨルダンの教員がオンラインで繋がり、特活をテーマに交流研修会を行いました。今回の研修では、埼玉県特別活動研究会にご協力いただき、埼玉県の4校の校長先生や教頭先生が参加してくださり、ヨルダンで特活に取り組む公立学校の教員および教育局の担当者約30名とオンラインで繋がりました。研修会では、実際にヨルダンで特活の活動を行う様子を動画で視聴し、埼玉県の先生方から、コメントやアドバイスを共有するなど、特活をテーマとした知見の共有や意見交換が行われました。当日は、3時間にわたりましたが、一度も休憩が入ることなく、ノンストップで熱い議論が行われました。画面からヨルダンの先生方が一生懸命メモをとっている姿が日本側の先生方にも伝わり、次々に届く質問やコメントに、埼玉県の先生方も、楽しそうに、そしてとても熱心にお話してくださる姿がとても印象的でした。研修会の途中では、ネットワークのトラブルもありましたが、最後まで、活発な意見交換が行われました。今回の研修が国境を越えた学びの場となり、今後の日本・ヨルダンでの教育現場での充実に繋がれば、とても嬉しく思います。
会の冒頭、日本の先生が自己紹介をする様子
日本語⇔アラビア語の通訳を介して行いました
今回の研修では、特活について豊富な知見を持つ、埼玉県特別活動研究会の先生方にご協力いただきました。もともとJICAは埼玉県教育委員会と連携させていただいており、2010年頃から国際理解教育の推進やグローバル人材の育成など、様々な連携した取り組みを実施しています。
今回は、ヨルダンで特活の取り組みを普及している、KnKさんの「特活の知見が豊富な日本の先生方にご協力いただき、日本の知見・経験をヨルダンでの取り組みに活かしたい!」というお気持ちのもと、JICAが橋渡し役となって、埼玉県特別活動研究会の事務局長である、野村校長先生にご協力をお願いさせていただいたことがきっかけとなりました。
ご協力いただいた先生方は、普段の学校の業務で大変ご多忙にも関わらず、事前にヨルダンの特活の様子を撮影した動画を視聴し、言語や文化の異なるヨルダンの先生方に少しでも分かりやすく伝えられるようにと資料を準備してくださりました。大変感謝しております。
会の最後には、埼玉県の先生からヨルダンの先生方へのメッセージとして、「教員の役割は、子どもたちが主体的に「やりたい!」と思う活動をサポートすることがだと考えています。ぜひヨルダンでも引き続き、活動を頑張ってほしい」との激励も伝えられ、ヨルダンの先生方の励みになったのではないかと思います。
日本では当たり前のように学校現場で行われている特活ですが、新しく取り組み、実践することは、ヨルダンの先生方にとって戸惑いや困難もあるかと思います。今回の研修が今後のヒントになりましたら幸いです。今後の取り組みにも期待が高まります!
ヨルダン側からは約30名の教員、教育機関の方々にご参加いただき、活発な意見交換がされました。
◆関連ファイル
・案件概要表はこちら
・特定非営利活動法人 国境なき子どもたち(KnK)のウェブサイトはこちら
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