村人たちの手による観光商品開発を!~デザインの知見を活用して長岡造形大学が取り組む、ラオスの観光産業活性化プロジェクト~
2024.10.08
公立大学法人長岡造形大学は、ラオスにおいて草の根技術協力事業「デザインプロセスを活用した持続的な観光商品の開発及び質向上プロジェクト」を実施中です。プロジェクト開始から2年が経過し、現地ではプロジェクトメンバーと村人たちの想いがたくさん詰まった土産物が開発されています。今回はその様子をお届けします。
ラオス北部に位置するシェンクワン県。本事業の実施団体である公立大学法人長岡造形大学(以下、長岡造形大学)は、ここシェンクワン県のムアン村とミーサイ村(旧ポンカム村)を対象に観光商品開発プロジェクトを展開中です。本事業では、それぞれの村にある蜂蜜・茶葉・手織物・米麺といった生産品を使って、住民自身がそれらを観光商品として売り出していく力を付けるため、「デザインプロセス」を学んでいます。「商品をより魅力的に伝えるためのデザインはどのようなものか」を住民自らが考え、開発した観光商品の売上を生計向上に繋げていきます。
本事業の実施背景やデザインプロセスに関する詳細説明はこちらから!
・「秘境の国ラオス」デザインプロセスを活用し観光商品の開発へ! | 日本での取り組み - JICA
・「国際協力×デザイン」でラオスの観光産業を活性化したい! | 日本での取り組み - JICA
本事業では、各家庭に眠っている古着となった伝統衣装のスカートを使って、コースターやトートバッグを製作するアップサイクル活動も進めています。
◆関連リンク
・長岡造形大学URL:公立大学法人長岡造形大学 (nagaoka-id.ac.jp)
・長岡造形大学Facebookページ:長岡造形大学 | Nagaoka-shi Niigata | Facebook
・本プロジェクトのFacebookページはこちら(現地の様子を随時更新中!):Champayayam project | Facebook
9月4日~14日までの10日間にわたり、シェンクワン県の中心部・ポンサヴァン市街地のカフェにおいて、本事業で開発された観光商品の展示会が開催されました。展示会のテーマは、「LAO Potential」。まさに観光客のみならず、住民たち自身もこの地域に秘められたポテンシャルを再発見できる展示会です。この展示会には本事業の活動を通して、村の住民によって開発された商品が展示・販売され、どの商品にもそれぞれの村のロゴマークが付けられました。村のロゴ作成にあたっては、村ごとに住民たちが意見を出し、自分たちの村から連想する風景や想いが表現された大切なもの。この地域を象徴し、地元の人から愛される山の名称「Phu Hak」(プーハック)を使い、特産品のブランド名としました。ロゴの完成とブランド名が出来たことで、これまではただ単に「蜂蜜」や「お茶」としてしか売られていなかったものが、「ムアン村の蜂蜜」、「ミーサイ村のお茶」というようにそれぞれの村の「特産品」として販売が出来るようになりました。商品パッケージに付けられたブランドロゴが、村の特産品としての魅力を伝える一助となっています。
ムアン村のロゴマーク。村人たちの性格や今も多く残る自然が表現されています。
街で開催された商品展示会のポスター(英語版)
展示会で配布された村の観光商品マップです。マップには観光商品を展示・販売しているカフェやショップが示され、まさに街全体でのPR活動週間となりました!
展示会の様子
商品化された蜂蜜。それぞれの村で蜜源が異なるため、村ごとに蜂蜜の味が違います。ロゴマークにより、それぞれの村の特産品に。
茶葉のパッケージも村の住民たちの手書きによるものです。
着なくなった古着の伝統衣装スカートは、アップサイクルでコースターやトートバッグに生まれ変わっています。住民たちはスカートの模様をどのように切り取ればより魅力的な商品が出来上がるのかを日々のトレーニングから学び、今では彼ら自身の手でラオスの伝統的な柄が光るアップサイクル商品を製作できるようになっています!
古着スカートからのアップサイクル商品として開発されたコースター。
コースターにも村のロゴを付けて販売。素敵なパッケージに目を引きます。
現地に長期滞在し、村人たちとの活動を進める長岡造形大学の三井さん。
展示会に向けて、プロジェクトメンバー、住民たち、長岡造形大学の学生たちが協力しながら、共に商品製作を行いました。
アップサイクル商品の一つとして、新たに製作されたヘアバンドを付けて記念撮影。
本事業のプロジェクトマネジャー・長岡造形大学の板垣順平先生に今後への想いを聞いてみました。
長岡造形大学准教授:板垣順平先生(本事業のプロジェクト・マネージャー)
板垣先生:
「プロジェクトが始まってちょうど2年が経過しましたが、二つの村の新しい観光商品として展開できるものが形になってきました。観光客の反応はもちろんですが、村人たちからも“自分たちで作って販売していきたい”という声が出ています。残りの期間では、プロジェクトが終了した後も現地のカウンターパートが中心となって、村人たちがそれぞれの村のロゴマークを活用しながら商品を生産・販売できる体制を整えていきたいです。今後も住民たちが、プロジェクトで作成した自分たちの村のロゴマークを誇りに思い、このロゴマークを活用しながら村の特産品としてより良い商品を作っていくようになっていって欲しいと考えています。」
事業終了を見据えて、プロジェクトメンバー、ラオス側の協力機関、村の住民たちが一丸となって、引き続き前に進んでいきます!長岡造形大学による本事業、是非これからもご注目ください!
県内の小学校では、子ども達向けに長岡造形大学の学生たちが染色体験のワークショップを開催しました。
自分たちで染めたハンカチを手にもって皆で記念撮影!
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