\長岡造形大学によるラオス草の根プロジェクト/着られなくなった伝統衣装に新たな価値を生むプロジェクトが新フェーズへ!
2025.10.17
新潟県長岡市にある長岡造形大学(以下、NID)は、2025年8月よりJICA草の根技術協力事業を通じて、ラオス農村部での観光商品開発事業を開始しました。本事業では、NIDが持つ「デザインプロセス」の知見を活用し、ラオス北部シェンクワン県の女性住民の収入向上を目指します。
NIDは2022年10月から2025年4月までの2年半にわたり、同地域にて伝統衣装(シンと呼ばれる巻きスカート)の生地を活用した観光商品開発に取り組んできました。今回新たに開始したフェーズでは、これまでに開発された観光商品の販路の確立や、少数民族の村を含む他地域への展開などに取り組んでいきます。
▼NIDによる同地域でのこれまでの取り組みの様子はこちらから!
デザインの視点で、売れる観光商品開発を!~長岡造形大学が取り組んだ「デザイン×国際協力」の新たな可能性とは~ | 日本国内での取り組み - JICA
観光商品化されたコースター
これまでに開発された商品は、「Phu Hak(プーハック)」ブランドとして販売されています。「Phu Hak(プーハック)」というブランド名は、本プロジェクトの対象地域で愛される山の名称から名付けられたもの。ラオスの人々の思いと温かみが感じられる素敵なお土産品となっています。
▼関連リンク
・長岡造形大学WEBサイト:公立大学法人長岡造形大学 (nagaoka-id.ac.jp)
・長岡造形大学Facebookページ:長岡造形大学 | Nagaoka-shi Niigata | Facebook
・本プロジェクトのFacebookページ:Champayayam project | Facebook
皆さん、ラオスの「シン」という衣装を知っていますか?
「シン」は、ラオスの女性が日常的に身に着けている伝統的な巻きスカートで、ラオス各地で人々の手によって織られています。ラオスの地域や民族ごとに模様や色が異なっており、その違いもまた「シン」の魅力です。
(右上)ラオスの少数民族「モン族」によって織られた刺繍生地
(右下)ラオスの少数民族「モン族」の民族衣装
(左)「シン」のスカート
ラオスの農村部に住む女性たちの多くが、複雑な模様の「シン」を織ることが出来る一方で、スカートとしての販売価格は安く、収入向上に繋げることは容易ではありません。
NIDによる観光商品開発事業では、住民の家に眠っていた「シン」に着目し、その生地を使い、コースターやバッグといった観光商品へアップサイクル。その商品の販売を通じて、女性住民自身が収入向上へと繋げていきます。
本事業の対象地はラオス北部に位置するシェンクワン県。ここには、巨大石壺群で有名な「ジャール平原」という世界遺産があります。NIDは、このラオス有数の観光スポットにて、これまでに開発された観光商品の展示と販売を行っています。
今回は、NIDの授業の一環として現地に渡航した学生が、利用者の増加を目指して展示スペースのリニューアル活動に取り組みました。女性たちによって織られた複雑な模様とその手仕事の素晴らしさがさらに伝わる温かみのあるスペースへと改善され、展示スペースを通じたさらなる売り上げの向上が期待されます。
リニューアルされた展示スペースと作業に取り組んだNIDの学生の皆さん
本事業では、これまでの活動で取り組んだ村に加え、県内の少数民族の村への展開も行います。新フェーズの活動の第一歩として、NIDのプロジェクトメンバーが住民への説明会を開催。今回は、民族独自の織物でも有名な「タイダム族」のシェンキョウ村で開催しました。説明会参加者は50名ほどにのぼり、本事業での取り組みに対する住民の関心の高さが伝わってくるものでした。参加住民からは、『これからNIDと共に、「シン」の生地を活用したアップサイクル商品を作りたい』といった声も聞かれました。
シェンキョウ村での説明会の様子(マイクで話しているのが、本事業プロジェクトマネージャーの板垣順平先生)
自宅で織物を織る様子。シェンキョウ村では多くの女性たちが自分たちの手で織物を織ることができます。
タイダム族ならではの紋織りデザインによる織物です。
また、村の女性たち向けに、NIDの学生が組紐によるブレスレット制作のワークショップも開催。参加した女性住民の皆さんはワークショップの中ですぐに技術を習得し、独自のアレンジを加えつつ、楽しみながら取り組んでいました。
ブレスレット制作のワークショップの様子
長岡造形大学によるラオスでの新しい挑戦は始まったばかり。ラオスの人々によって作り出される手仕事とNIDが持つデザインの知見が融合し、様々な形で村の女性がエンパワーメントされていく様子に是非ご注目ください!
▼関連リンク
・プロジェクト概要:案件概要表
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