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【研修報告】開発途上国公務員の人材育成から支える国づくり

2026.02.16

大洋州、南アジア、アフリカなどから参加した研修員たち。写真は杉並清掃工場の視察の様子。

政策立案能力向上目指す 国家公務員幹部向け研修

独立行政法人国際協力機構(JICA)東京センターは、人事院の協力のもと、一般財団法人日本国際協力センター(JICE)を研修委託先として、開発途上国の国家公務員の政策立案能力の向上を目的とした研修を2025年11月26日~12月13日までの18日間実施しました。

開発途上国の省庁で政策決定に関わる国家公務員が研修の対象で、アルバニア、バングラデシュ、ブータン、カメルーン、フィジー、リベリア、マラウイ、モーリシャス、ナイジェリア、パレスチナ、北マケドニア、タンザニア、トルクメニスタン、ウクライナ、バヌアツの公務員・行政改革省、財務予算国家計画省など様々な省庁から15人が研修員として参加しました。

参加国の主体性を尊重 40年の歴史ある研修

一人ひとりが安心して暮らせる社会を作り、社会や経済を発展させていくためには、柔軟で適切な政策を立案・実施する国家公務員の能力向上が重要な役割を果たします。この研修では、各国が主体的に制度を選択し構築していけるよう支援しています。参加国のオーナーシップ(主体性)を尊重しつつ、日本の行政制度を学ぶとともに、各国制度との比較検討や対話を通じて、研修員自身がより良い国家行政を実現するための計画を作成・実施することを促しています。また、1986年度から継続的に実施されている本研修ではこれまでに400人を超える研修員が参加し、日本と参加国の良好な関係構築に貢献してきました。

研修では日本の国家公務員の採用や人事管理を担う機関である人事院のほか大学などから有識者を招き、日本の公務員制度、国家公務員の人事管理や人材育成、日本の地方自治体と中央政府との関係、開発途上国における透明性と説明責任、幹部行政官のリーダーとしての役割などについて講義やディスカッションを行いました。

実現可能な改善計画「インプルーブメントプラン」の作成方法を学ぶワークショップの様子。

また、研修員はそれぞれの組織の課題を解決するための具体的な仕事やスケジュールを落とし込んだ改善計画「インプルーブメントプラン」を作成するための方法を学びました。グループワークでは、例として「求められる業務に対して組織の体制をどのように十分に整備できるか」、「仕事の成果を、適切にモニタリング・評価するための改善策は」といった大きな課題から、その背景にある原因や解決方法を一つ一つ話し合いました。

人と環境にやさしい地域づくりを共に目指して 
行政や民間の実例を見て学ぶ

今年度の研修では、国境を越えて解決していくことが求められる気候変動や災害対策、廃棄物処理などの地球規模の課題に関わる講義を取り入れるとともに、環境にやさしい廃棄物処理施設の取り組みの視察を行いました。

東京都杉並区にある杉並清掃工場の視察では、ダイオキシンの発生を防ぐためにごみを焼却炉で高温で焼却していることや、近隣の地域の人たちの生活に配慮し、騒音や渋滞、匂いを防ぐために工夫された収集車専用の地下道を取り入れた構造などを学びました。研修員は、可燃ごみ焼却処理施設の周辺が衛生的に保たれている様子や、地域から運ばれてきたごみがスムーズに手順を踏み焼却されていくシステムに関心を持っていました。施設を設計・施工した企業や、耐用年数について質問が出ていました。

杉並清掃工場で、ゴミ収集車が地下道を通りゴミを搬入するルートなどの説明を受ける様子

ごみ収集車が杉並清掃工場に次々と到着し、ごみが投入されるのを見学する様子。

東京都大田区にあるバイオエナジー株式会社の食品リサイクル施設の視察の様子。

研修員たちは、国や東京都が廃棄物問題の解決を促進する「スーパーエコタウン」の事業で整備された施設の一つであるバイオエナジー株式会社の食品リサイクル施設も訪れました。この施設では、首都圏のスーパーなどから集められた食品廃棄物である生ごみを原料としてメタン発酵させることでバイオガスを生み出し、電気や都市ガスのエネルギーにリサイクルしています。研修員は日本の食品リサイクル法などについて説明を受けた上で施設を見学し、どのように地域の事業者から生ごみを集めるかなどに関心が集まっていました。

研修の学びが「自国の制度を再考するきっかけに」

閉講式では研修員に修了証が手渡されました。

研修の最後に、研修員は研修での学びを元に自国の政策立案に生かす改善計画「インプルーブメントプラン」を発表しました。テーマは多岐にわたり、市民の信頼を得るための公的機関のトップの任命のあり方、より良い行政サービス提供のための説明責任や透明性、行政の仕事を効率的にするための情報管理の改善策などについて発表があり、研修員同士や講師との間で意見交換が行われました。研修員はそれぞれの国で、数か月から数年をかけて「インプルーブメントプラン」に取りかかります。

参加者の声

「研修での学びは、政策立案や人事管理、連携体制からサービス提供に至るまで、自分の国の制度を再考するきっかけになりました。礼儀正しさや、他人への敬意、時間厳守、主体的なリーダーシップが、単に教えられるだけでなく出会った全ての人々が日々実践して示してくれる学びの環境に浸りました。

視察も同様に強く印象に残るものでした。廃棄物処理施設の中に入り、持続可能な環境づくりに向けた技術や誠実な姿勢を間近で見て、日本社会に根付く市民社会の責任感の高さに参加者の多くが驚きました。こうした施設は、確立された制度が一貫性、透明性、信頼をもって時間をかけて構築されることに改めて気付かせてくれました。

私たちはそれぞれの国に、より明確になった未来への方向性や新たに湧き上がった意欲、参加者同士の強いつながり、そして自国の発展への深い決意を持って帰ります。ありがとうございます。」


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