「長期研修員の素顔と魅力⑲~」
2026.04.16
2026.04.16
JICA東京センター長期研修課では、2025年JICAインターンシップ・プログラムに参加している日本の大学生・大学院生を受け入れました。本記事では、インターン生による開発途上国からの留学生へのインタビューをご紹介します。
インタビューアー:五味颯真(東京外国語大学)
旅行中の五味さん
今回は、ケニア出身で聖路加国際大学大学院修士課程に在籍するODHIAMBO Ezra Aballa さん(以下、エズラさん) にインタビューしました。
看護師として医療現場の最前線に立ちながら、人々が病気になる前の段階で守る「予防の力」の重要性を実感したエズラさん。公衆衛生を深く学び、国の人々の健康を根底から支えたいという思いを胸に来日し、現在は幼児の認知的発達についての研究に取り組んでいます。今回は、エズラさんの日本での学び、生活、そして将来への想いについて伺いました。
看護師として働く中で、エズラさんが強く感じたのは、病院に来てから治すのでは遅いということでした。母国ケニアでは、生活習慣や環境が要因となって病気を抱える人が多く、予防を重視する公衆衛生について学び直す必要があると考えました。
そこで日本の医療体制、高齢化社会に対応する政策、衛生環境の高さなどに魅力を感じ、日本で学びたいという思いが固まりました。
エズラさんは、母国での看護師の経験を踏まえ、予防医学の中でも子どもの健やかな発達の基盤づくりに重点を置いて研究を行っています。研究テーマは、36〜59ヶ月の幼児が就学に向けてどれほど学ぶ準備ができているか(認知的準備度)」を明らかにすることです。
研究対象年齢の子どもが数を数えられるか、自分の名前を書けるか、言葉を理解し、物事を認識できるかといったUNICEFの幼児発達(Early Childhood Development)指標を用いて、認知的準備度を数値化する方法を提案しています。
さらに、都市/農村の格差、家庭の経済状況、栄養状態などが子どもの発達にどのように影響するかを分析しています。
これらを組み合わせ、教育・保健政策に生かせる指標を作ることが目標です。
来日して気づいたことは、日本は母国と比較してとても静かだということです。静かであるがゆえに、少し孤独に感じることもあります。特に隣人と顔を合わせる機会がほとんどないことは、ケニアとの大きな違いだそうです。
一方で、日本での学びはとても充実しており、授業、研究、そして他の留学生との交流が日々の刺激になっています。日本語のクラスにもオンラインで参加しており、積極的に学びの場を広げています。
また、JICA 東京の文化イベントにも積極的に参加しており、夏の納涼会でスイカ割りや花火、着物、生け花を体験しました。また、江の島での洞窟探検や神社巡りなど、研究の息抜きにさまざまな日本文化を体験してきました。
こうしたイベントは、日本文化に触れながら、他国の研修員と交流できる貴重な機会になりました。
研修修了後、エズラさんはケニアへ戻り、公衆衛生の分野で政策づくりや国民健康の向上に携わることを目指しています。また、データ分析やプロジェクトマネジメントの資格取得にも意欲的で、国際機関や NGO で働く道も視野に入れています。自分の研究が、子どもたちの教育と健康を守る政策につながることを強く願っています。
インタビューを通して感じたのは、エズラさんの学びへの情熱、そして母国の未来への強い責任感でした。予防医療を広め、幼児期からの人材育成を支えたいという志は、ケニアの公衆衛生に新しい光をもたらすと感じました。
日本での経験が、エズラさんの未来と、そしてケニアの子どもたちの未来を明るく照らすことを願っています。