大気汚染に関する環境チェックポイント

1. 概要

自然界の現象によっても大気は汚染されるが、一般に大気汚染とは事業活動などによって人が作り出した物質によって大気が汚染されることを意味している。代表的な大気汚染物質としては、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素、浮遊粒子状物質などがあるが、種々の化学物質の出現により、汚染物質も複雑化している。また、地球規模あるいは大陸規模での汚染物質の蓄積により、下記のような環境への悪影響が懸念されている(地球環境問題)。これらの被害は表面化するまで長期間を要するものが多く、それからでは対策を講じることが非常に困難となる。従って、現時点で予防的対策を取ることが肝要である。

  • イ. 酸性ガスの増加による酸性雨
  • ロ. フロンガスによるオゾン層破壊
  • ハ. 炭酸ガス等による地球温暖化

2. 基準達成

(1) 工場等の事業所から排出される硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、媒塵等大気汚染物質は、当該国の排出基準、環境基準を満足するか。

(2) 上記の項目にかかわる当該国の基準は国際的に妥当な内容と判断されるか。また、借入国において、現在規制が確立されていない項目については当該国以外(日本における経験も含めて)での実状も踏まえた上で検討しているか。

3. 事前検討

(1) 周囲の風向・風速・地形等により大気汚染(スモッグ等)が集中する地域が生じる危険性はないか。

(2) 上記の問題の検討、環境基準達成の検討に関連して、既に充分なモニタリング体制が敷かれデータの収集がなされているか。

4. 個別対策

(1) 事業所内でのフロンガス(CFC等)の使用の有無および量、管理体制について充分検討されているか。また、フロンガスの代替物の利用による削減・使用廃止計画はどうなっているか。

(2) 脱硫、脱硝、集塵等の除害設備の設置およびこれら設備の運転管理・専門技術者の配置は充分検討されているか。また、高煙突化、防塵幕の設置、散水設備の設置等の対策についても充分検討されているか。

(3) 施設の運転不良、故障、事故による有害ガスの大気中への放出に関する対策の検討はなされているか。

5. 留意点

(1)プロジェクトに関し地域住民およびNGO(国内、国外)の理解は得られているか。

(2)当該国において、過去および現在の大気汚染に関し、どのような問題が発生しているか。