JICA研究所

JICA研究所について

研究所長あいさつ

2017年度 ごあいさつ

新年度を迎え早1カ月がたちました。昨年4月にJICA研究所長に着任して以来、「現場とアカデミクスとの往復」を掲げ、内外の実務者・研究者と共に研究活動に取り組み、昨年度一定の成果を挙げることができました。国際開発分野のシンクタンクの世界ランキングも順位が10位以上あがりました。成果の詳細については、第三者評価委員会の資料として研究所ウェブサイト上で公表の予定です。

 
世界が直面する開発課題がますます多様化,複雑化する中で、JICAは、今年度より新たな5年間の中期目標期間(2017〜21年度)に入りました。明年2018年10月には新JICAが設立されて10年を迎えます。JICA研究所も、10周年を目指して、今年度の研究業務の重点を定めました。 
 
第一に、日本の開発協力の歴史や経験と日本自らの開発経験をまとめる取り組みです。「日本の開発協力の歴史」研究プロジェクトは、ODA60周年を記念して2015年に発刊した英文書籍「日本の開発援助:対外援助とポスト2015アジェンダ(Japan's Development Assistance: Foreign Aid and the Post-2015 Agenda)」をさらに発展させ、日本の開発協力の歴史を全7巻からなる本格的な叢書としてとりまとめることを目指しています。加えて、個別セクターの歴史をまとめる試みとして「日本の国際教育協力:歴史と現状(仮称)」の出版企画にも取り組み始めました。これまで16冊発刊してきた書籍プロジェクトヒストリーシリーズもさらに充実させたいと思います。新たな中期目標期間中にJICAが重点的に取り組んでいく日本の開発経験を伝える留学生事業の強化にも、研究所として貢献していきたいと思います。高等教育の国際化と留学生に関する研究も新たにスタートさせる予定です。
 
第二に、「開発協力大綱」で重点課題として掲げられた「質の高い成長」に関する研究に取り組みます。「質の高い成長」とは、包摂性(inclusive)、持続可能性(sustainable)、強靭性(resilient)を兼ね備えた成長を指します。研究所では既に、「質の高い成長」に関する9本の開発協力文献レビューを発刊しています。これらの文献レビューももとに、「質の高い成長」の経済学的論考についての書籍と、「質の高い成長」のケーススタディをまとめた書籍を発刊する研究プロジェクトを進めてまいります。さらに、ノーベル経済学賞受賞者コロンビア大学スティグリッツ教授率いるシンクタンクであるIPD(Initiative for Policy Dialogue)との「アフリカにおける質の高い成長」に関する共同研究の成果を英文書籍として発刊することを目指します。社会インフラに着目したアジアのインフラ需要推計研究にアジア開発銀行(ADB)と共に取り組むとともに、インフラ事業の質の側面も踏まえたインパクト分析研究を新たに立ち上げることも検討中です。
 
第三に対外発信を一層強化してまいります。4月には、国連日本政府代表部、国連開発計画(UNDP)、IPDと共に、ニューヨークの国連本部で、前年8月にケニアで開催された「第6回アフリカ開発会議」(TICAD VI)のフォローアップイベントを開催し、5月にはADB横浜総会のサイドイベントにて、上述のADBとの共同研究の中間成果を発表しました。同月中旬にはUNDPとの「人間開発報告2016」刊行記念シンポジウムの共催も予定されるなど、年度をとおして、研究成果の積極的発信に努めてまいります。G20参加国のシンクタンクの集まりであるT20の活動やグローバル・シンクタンク・サミットにも積極的に参加してまいります。
 
以上に限らず、既存の研究プロジェクト等を着実に実施してまいります。平和で安全な社会の実現に向けて、人間の安全保障研究に引き続き取り組むとともに、新たな援助ガバナンスの分野では、中国の対外援助推計のアップデートをはじめ、新興国の開発協力研究に取り組みます。
 
最後になりますが、JICAは、昨年のバングラデシュ・ダッカでの悲劇的な事件以降、国際協力関係者の安全対策の抜本的見直しを図っているところです。研究所としても、研究プロジェクトの関係者の安全、健康を第一に考え、一年間の業務を推進してまいります。
 
引き続き、JICA研究所に対して、ご支援とご協力、そして忌憚のないご意見を賜ることができれば幸いです。皆様どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 
2017年5月12日
JICA研究所
研究所長 北野尚宏 

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