JICA研究所

JICA研究所について

研究所長あいさつ

JICA研究所は2018年10月に設立10年の節目を迎えました。私は、これまで研究所が着実に築いてきた知的基盤と成果を維持・発展しつつ、次の10年に向けた新たな一歩として、3つの点を重視して取り組んでいきたいと考えています。

第一に、日本の二国間開発協力を担うJICAの中の研究部門として、JICAの戦略性や事業効果の向上に貢献する研究を一層、推進していきます。JICAには60年余におよぶ開発途上国協力を通じて蓄積された知見や情報データ、人的ネットワークがあります。JICA研究所は、こうした貴重な財産をフルに活用し、国内外のさまざまな分野の研究者やJICA他部署と連携しながら、バランスのとれたポートフォリオのもとで、途上国の国造りに役立つ研究プロジェクトに取り組んでまいります。

第二に、開かれた研究所として、多様なステークホルダーとのネットワーキングを強化し、日本における開発・援助研究の拠点として、知的コミュニティー形成に貢献していきます。ワーキングペーパー・書籍の出版、国内外でのセミナー・シンポジウム開催、学会活動などを通じた研究成果の発信に引き続き取り組むとともに、産官学・市民社会との知的交流を積極的に進め、研究内容を深化させていきます。また最近、研究成果に基づく政策提言をまとめたポリシー・ノートの刊行を始めました。幅広い関係者に活用いただけるよう発信していきます。

第三に、日本らしい内容と方法で知的発信を強化し、国際開発潮流への能動関与に努めます。日本は援助を受ける側と援助する側の「二重」経験をもった最初の非西欧国家であり、自らの国造りの過程で主体性をもって外来知識の受容と翻訳的適応に取り組んできました。この経験は日本の開発協力に強く投影されています。日本らしい視点を交えて国際社会に知的貢献をする意義は大きいと考えます。また日本の開発経験とともに、JICAが長年、途上国をパートナーとして「知識共創(Knowledge Co-creation)」してきた結果を他国に活用可能な形で整理することは重要です。JICA開発大学院連携事業との相乗効果を念頭において、今後、その具体化に取り組んでいきたいと考えています。

国際社会では、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」の実現に向けた国際協調がうたわれる一方で、自国第一主義が台頭しています。今ほど「ソフトパワー」が求められている時代はありません。JICA研究所は、国内外の研究者や開発実務者との知的コラボレーションを通じて信頼で世界をつなぎ、日本の「ソフトパワー」強化の一翼を担っていく所存です。2019年に日本で開催されるG20や第7回アフリカ開発会議(TICAD7)は、その好機です。今後とも温かいご支援とご協力を賜れれば幸いです。


2018年10月1日
JICA研究所
研究所長 大野 泉

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