JICA緒方研究所

ニュース&コラム

中国主導の経済特区と現地企業の連携の可能性を探る:アフリカ経済成長研究のためザンビアとモーリシャスを現地調査

2011年10月27日

DSC02376.JPG

    道路が整備されつつある中国主導によるモーリシャスの経済特区
   (ジン・フェイ経済貿易協力区)

JICA研究所のジャンクロード・マスワナ研究員は9月10日~25日、研究案件「アフリカにおける経済成長の潜在的要因の領域探求」の調査の一環として、ザンビアとモーリシャスを訪れました。

 

ザンビアとモーリシャスは一見すると対照的な国家です。1200万もの人口を抱えるアフリカ南部の内陸国ザンビアは、今夏の世銀の発表で低中所得国と分類されました。いまだ貧しい経済状況が続いていますが、今後、急速に経済が成長していくことが期待されています。一方、モーリシャスは、インド洋に浮かぶマダガスカル島沖合に位置する人口130万人の小さな島国です。しかし、国民一人当たりの平均所得は年間7000ドル以上と、ザンビアの約7倍の水準を誇ります(世銀データ)。高中所得国のモーリシャスは、世銀Doing Business Report 2008においてアフリカ一位にランク付けされました。

 

この相反する二国をつなぐキーワードは、中国と経済特区です。発展段階の異なるザンビアとモーリシャスですが、ともに中国企業を誘致し経済特区に投資を促しているという点で共通しています。将来の技術移転や製造業拡大という経済的な波及効果を特区へ期待しての動きです。

 

もし現地企業と中国主導の経済特区の間でビジネスの連携が生まれれば、その経済活動から恩恵を得ることが可能になります。しかし、これはザンビア、モーリシャス両国の現地企業に技能や知識を習得する十分な能力があって初めて実現できることです。マスワナ研究員はこの点を明らかにするため、二か国の現地中小企業を対象に現地調査を実施しました。調査では他に、政府関係者や現地の商工会議所代表、投資をしている外資系企業スタッフと面会し、経済特区の現状について聞きました。 

 

ザンビアの経済特区で最大規模を誇るチャンビシ複合経済特区は、中国政府の支援のもと建設された国内初の経済特区事業です。この地域は銅が多く採掘されることで有名で、現在約15社の中国企業が採掘関連の事業を展開しています。マスワナ研究員によると、チャンビシ複合経済特区は今後5年間で、50社から60社の企業誘致と約6000人の雇用創出を想定しており、総額で9億ドル(約700億円)に上る投資を見込んでいるとのことです。現在、他国主導により製造業、軽工業、食品加工業などさまざまな産業の経済特区が設置されていますが、まだ操業には至っていません。

 

家庭の使用済み食用油や植物油などを使ってバイオ燃料を製造するザンビアの企
業家。経済特区によりビジネスチャンスが拡大することを期待している
他方、モーリシャスは経済特区開発の豊富な経験を持っています。同国は1970年代以降、島内の外資企業へ対して関税の大幅な引き下げを実施し、サトウキビやお茶などの農作物の生産に依存するモノカルチャー(単一作物経済)から、農業だけではなく観光や繊維産業、製造業を含む多角的な産業構造へと移行することに成功しました。

 

モーリシャス・ジン・フェイ経済貿易協力区と呼ばれる中国主導の経済特区へ総額7億ドル(約540億円)の融資が期待されており、それによって将来4万人の雇用が創出される可能性があるとマスワナ研究員は説明します。稼働までにはまだ時間を要しますが、モーリシャス政府は軽工業、精密加工業、ハイテク産業の誘致を期待しているということです。

 

マスワナ研究員は今回の調査で、技術習得に関して現地企業の捉え方が両国で異なることが分かったと言います。同調査によると、モーリシャスの企業が技術不足を問題視しているのに対し、ザンビアの中小企業は資金調達が最大の課題だと考えていることが浮かびあがりました。「経済特区からの波及効果を得るために、アフリカの企業には知識と技術が必須だ。技術習得能力を資金確保によってある程度高めることは可能だが、高度な競争社会では既存の壁を打破する技術や知識がより重要だ。」とマスワナ研究員は語ります。

 

調査データの検証はまだ初期段階にあるため、最終分析結果の発表にはさらなる時間が必要ということです。

  

日時2011年9月10日(土) ~ 2011年9月25日(日)
場所ザンビア、モーリシャス



開催情報

開催日時2011年9月10日(土)~2011年9月25日(日)
開催場所ザンビア、モーリシャス

ページの先頭へ