JICA緒方研究所

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中国の対外援助推計アップデートについて欧州各国で発信-北野所長

2017年1月30日

JICA研究所の北野尚宏所長は2016年11月下旬、欧州各国の援助関係機関や研究機関を訪問し、中国の対外援助推計アップデートにかかる自身の研究成果を紹介しました。

発表する北野所長
発表する北野所長

北野所長が紹介したのは、2016年6月に発刊された研究所ワーキングペーパー「Estimating China’s Foreign Aid II: 2014 Update」。この論文は、JICA研究所が行ってきた研究プロジェクト「開発協力戦略の国際比較研究:G20新興国を中心に」の一環として執筆されました。論文では、さまざまな情報をもとに、OECD-DAC(経済協力開発機構の開発援助委員会)が定めるODA(政府開発援助)の定義と整合する形で、中国の二国間と多国間を合わせた対外援助規模を支出ベース(純額および総額)で推計。中国の対外援助(純額)は、2012年の約52億ドルから2013年には約54億ドルに増加したものの、2014年には約49億ドルに減少し、DAC諸国との比較では、第9位(2013年)に相当するとしています。

英国サセックス大学開発研究所(IDS)では、11月24日に研究成果を発表するセミナーが開催され、メリッサ・リーチ所長自らが司会を務めました。セミナーには、日本や中国からの留学生や客員研究員を含め約50人が参加。発表内容について、多くの質問が寄せられました。セミナー開催後、リーチ所長らとIDSとJICA研究所の今後の協力関係について意見交換を行いました。

翌11月25日に、ドイツを代表する経済分野のシンクタンクの一つであるキール世界経済研究所で開催されたセミナーには、同研究所の国際経済分野の研究者ら約20人が参加しました。北野所長の発表を受けて参加者からは、中国の対外援助の組織体制や意思決定、中国の対外援助に関するデータの信頼性やについて質問が寄せられました。

北野所長は、両研究所のほか、OECD(経済協力開発機構)、英国海外開発研究所(ODI)、オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院でも、研究に関するセミナーや面談を行いました。

この欧州各国の研究機関の訪問に先立ち、北野所長は10月上旬、米国ワシントンを訪問。ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際関係大学院(SAIS)で、「Estimating China's Foreign Aid: New Data」をテーマに、中国の対外援助について講演しました。講演はデボラ・ブローティガム教授が主催し、イタリア・ボローニャのキャンパスにもつながれ、30名を超える教員・学生が参加、中国の対外援助政策や国際機関との関係などについて活発な意見交換が行われました。

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