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南アで開かれた国連専門家会議で同国での障害者の実証研究成果を発表-伊芸研究助手

2017年1月16日

南アフリカにおける障害者の多元的貧困に関する実証研究を進めるJICA研究所の伊芸研吾研究助手が、2016年12月7日から9日まで南アフリカ共和国の統計局で開かれた障害者統計に関する専門家会議に参加し、研究の成果を発表しました。

発表する伊芸研究助手
発表する伊芸研究助手

伊芸研究助手が参加したのは、国連経済社会理事会に置かれた国連統計委員会のもとに設けられている「障害者統計に関するワシントングループ」の会議。同グループは、国際比較が可能な障害者のデータ収集に関する標準的な手法を開発、推進するため、2002年ワシントンで第1回会議を開催。以降、ほぼ毎年各国で会議を開催しています。

今回の第16回会議には、欧米の研究機関に所属する障害者統計の研究者や、各国の統計局関係者ら約40人が参加しました。会議では、障害に関する質問項目の拡張版のガイドライン作成、子どもの障害や精神衛生を測る指標の開発、同グループが推奨する障害に関する質問群を教育や雇用の調査に盛り込んだ事例などが報告され、参加者と議論が行われました。後半は各国の障害者のモニタリングに関する状況や統計を用いた報告があり、伊芸研究助手は「アフリカの障害測定」セッションで発表しました。

伊芸研究助手の研究は、障害と貧困の間の双方向の因果関係によって生じる分析上のバイアスを減らすために、障害者の障害以外の個人・環境要因(年齢、性別、人種、居住地など)が一致する障害者と非障害者をマッチングさせたうえで、教育や雇用、所得、生活水準などをもとに作成された多次元貧困指標を比較しています。また、分析を障害種別や重さ、年齢層、性別、人種、居住地域の種類ごとに細かく分けて行った点が特徴的です。

実証研究の結果として伊芸研究助手は、
(1) 障害以外の要因をコントロールしたうえでも、障害者は非障害者に比べて多次元的貧困という点でより不利な状況に置かれている
(2) 障害者の中でも、知的障害や移動、セルフケアに障害を抱えている人、複数の障害を持っている人、黒人、農村地域や部族地域の居住者がより深刻な影響を受けている
(3) 障害者と非障害者との間の貧困の格差は、若年層では主に障害によってその大部分を説明でき、年齢が高い層では障害だけでなく他の要因からも生じている
などの点を紹介しました。

障害と貧困の間の双方向の因果関係や分析の細分化の必要性については他のセッションでも議論に上り、発表に対して、「このような詳細な分析はこれまでにない新しい分析だ」「自分の国のデータでも同様の分析を行いたい」などのコメントが寄せられ、高い関心を集めました。

伊芸研究助手は「会議に参加して、この研究の意義を再確認することができた。また、会議に参加した南アフリカ政府職員の分析結果に対する反応も良く、このような専門的な分析を歓迎したいとの感想をもらった」と所感を述べています。

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