JICA緒方研究所

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G20メンバー国のシンクタンク会合で、質の高いインフラの重要性を指摘-北野所長

2017年2月16日

G20メンバー国のシンクタンクで構成され、G20への政策提言を目的とするThink 20(T20)のアフリカ会合が2017年2月1日から3日まで、南アフリカのヨハネスブルクで開かれ、アフリカ諸国やG20 メンバー国のシンクタンク、国際機関などから約240名の参加がありました。JICA研究所からは北野尚宏所長が参加し、作業部会では、アフリカ開発会議(TICAD)の取組みに触れながら、質の高いインフラの重要性について発表しました。

会合に参加した北野所長
会合に参加した北野所長

今回の会合は、2017年のG20議長国ドイツの2つのシンクタンク、ドイツ開発研究所(DIE)とキール世界経済研究所(IfW Kiel)と、南アフリカ国際問題研究所(SAIIA)が主催しました。T20の会合としては初めてアフリカで開催され、「アフリカとG20:持続可能な開発のための提携構築」をテーマに、広範な議論が行われました。

「インフラ投資と産業化」の作業部会に登壇した北野所長は、(1)日本が取り組んできたアフリカ開発会議(TICAD)の取り組みを紹介しながら、アフリカで質の高い持続可能なインフラ整備を推進するためには公共部門の役割が重要であることを強調するとともに、(2)技術協力を通じて良質なマスタープランを策定し、インフラ整備の優先順位をつけること、および(3)技術革新を活用すること、が有用であると発言しました。

良質なマスタープランの事例としては、ホスト国とともにJICAがケニアのモンバサ港を起点とし、ウガンダなど内陸部とを結ぶ北部回廊で実施した物流マスタープランを紹介。技術革新の実例としては、インドネシアにおける地熱試掘技術改善による地熱発電のコストダウンに向けての取組みについて紹介しました。参加者の間で活発な議論が交わされ、それをもとに作業部会としての提言が作成されました。

会合での議論
会合での議論

今回の会合では「インフラ投資と産業化」の他に、「農業、食糧安全保障および気候問題への行動」「国際貿易と投資」「電子商取引とデジタル経済」など、合わせて6つの作業部会が開かれました。全体会合では、「どのようにT20がアフリカのシンクタンクの参加を維持し、より実践的かつ効果的な方法でG20に影響を与えることができるか?」「持続可能なパートナーシップを構築するには?」について参加者の間で意見交換しました。今回の議論に基づき作成された提言(コミュニケ)はネット上で公開されるとともに、関係各国の政府と共有されました。今後、T20の活動を通して、さまざまな開発課題に関する情報や意見の交換が活発化していくと思われます。北野所長は、「今回の会合に参加して得られた情報や知見を、JICA研究所の今後の研究活動に生かしていきたい」と述べました。

今後、T20の活動を通して、様々な開発課題に関する情報や意見の交換が活発化していくと思われます。北野所長は、「今回の会合に参加して得られた情報や知見を、JICA研究所の今後の研究活動に生かしていきたい」と述べました。

なお、2月3日には北野所長はプレトリア大学ガバナンス・イノベーション研究センターを訪問し、「日本の開発経験とアジア・アフリカへの開発協力」をテーマに講演しました。講演後に参加者からは、今後のアフリカの開発における課題や日本の役割等に関して多くの質問が寄せられ、有意義な議論の場となりました。

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