JICA緒方研究所

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北京での共催セミナーで中国の対外援助推計アップデートを紹介—北野所長

2017年6月14日

共催セミナーで講演する北野所長
共催セミナーで講演する北野所長

2017年5月下旬から6月上旬にかけて、JICA研究所の北野尚宏所長が中国・北京を訪問しました。中国商務部国際貿易経済合作研究院(CAITEC)、フランス開発庁(AFD)中国事務所、JICA中国事務所の共催によるセミナー「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献:中国と国際社会のパートナー」に参加したほか、清華大学で講演を行い、同大学関係者と意見交換を行いました。

6月1日の共催セミナーでは、北野所長が中国対外援助推計アップデートや中国の援助実施体制の構図などについて基調講演を行いました。中国の対外援助推計のアップデートは、2001~2015年の対外援助額(ネットおよびグロス・ディスバース額)を、経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)が定めた政府開発援助(ODA)の定義とできるだけ整合させて更新し、DAC諸国のほか、DACに援助統計を報告しているサウジアラビアなどトップ10ヵ国のODA額と比較したものです。

また、SDGsや、その達成に向けてOECDや国連の場で議論されているTOSSD(Total Official Support for Sustainable Development)に、日本や中国がどう取り組んでいるかについても紹介しました。TOSSDとは、従来のODA統計に加えて資金の供給元をDAC諸国に限定せず、SDGsの達成に向けた公的資金や民間資金の流れを補足するものです。会場からは「中国の対外援助統計は部分的にしか開示されておらず、全体像を把握できて非常に参考になる」という声が多くあがりました。

続くセッション「SDGs時代の開発金融—多様な資金構成とTOSSD」では、OECD/DAC事務局のハヤ・シュッテ統計・開発金融課長がTOSSDの定義やこれを推進する理由、今後のスケジュールに関して発表しました。また、セッション「一帯一路イニシアティブとSDGs」では、CAITECのワン・ルオ所長が今年5月15日に北京で開催された「一帯一路(the Belt and Road Initiative: BRI)国際協力サミットフォーラム」で公表された支援パッケージとSDGsの関係性や実施にあたっての課題を説明しました。

同セミナーには、中国側の政府・研究機関のほか、援助機関・国際機関、民間企業から約60人が参加。BRIサミットの結果を踏まえ、中国がSDGs達成にどう貢献できるかについて、各機関の視点から意見を交換する場となりました。

清華大学で講演し、学生らと意見交換
清華大学で講演し、学生らと意見交換

また、5月31日には、北野所長が清華大学公共管理学院の産業発展・環境ガバナンス研究センター(Center of Industrial Development and Environmental Governance: CIDEG)を訪問しました。

シュエ・ラン院長のホストでアカデミックサロンが開催され、北野所長が「日本と中国の開発経験と経済協力」と題して講演。SDGs達成に向けた日本と中国の取り組みや、日本の開発経験がまずは中国や先発ASEAN諸国に、その後に後発ASEAN諸国やアフリカにも伝播しつつある状況などを伝えました。また、中国の対外援助額推計のアップデートも紹介し、聴講した教授や学生から様々な意見や質問がなされ、活発な議論が交わされました。

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