JICA緒方研究所

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日本とのさらなるパートナーシップを模索—EBRD副総裁が訪問

2017年6月30日

講演するピエール・ヘイルブローンEBRD副総裁
講演するピエール・ヘイルブローンEBRD副総裁

JICA研究所は、2017年6月22日に公開セミナー「欧州復興開発銀行(The European Bank for Reconstruction and Development: EBRD)における日本の役割」をJICA市ヶ谷ビルで開催し、ピエール・ヘイルブローン政策およびパートナーシップ担当・副総裁が講演しました。

開会のあいさつでJICA研究所の北野尚宏所長は、ヘイルブローン副総裁を歓迎すると共に、JICA研究所の中央アジアでの取り組み事例として、JICAタジキスタン支所からの要請がきっかけで実施している、同国における海外送金に関する研究プロジェクトを挙げ、現場のニーズとアカデミクスをつなぐ研究を実施していることに言及しました。

ヘイルブローン副総裁はEBRDの概要と主な活動、今後の戦略と方針、日本との協力関係、中央アジアの市場と事業などについてのプレゼンテーションを行いました。EBRDは冷戦後の1991年に設立された国際金融機関で、中・東欧圏から中央アジア、近年はエジプトやモロッコなどにも投融資を行っています。これまで民間セクターを中心とした4700以上のプロジェクトに約1160億ユーロを投資し、自由市場経済の発展を支援してきました。また、ヘイルブローン副総裁はEBRDの資本のうち日本の出資が9%を占め、両者に強い協力関係があることも紹介。さらに2017年6月時点での日本とEBRDの共同出資では、トルコ、ハンガリー、ポーランドなどへの91億ユーロのうち、日本が41億ユーロを出資しています。2017年は中央アジア地域の優先順位が高く、中でもモンゴルでの開発に向けて日本企業の技術やノウハウに期待が高まっていることも述べました。

援助関係者や開発コンサルタントなどが参加し、関心の高さがうかがえた
援助関係者や開発コンサルタントなどが参加し、関心の高さがうかがえた

いくつかの事例のひとつとして、JICAとEBRDの協調融資によるモンゴルでの風力発電事業が紹介されました。これはJICAの海外投融資としては初のドル建てで、首都ウランバートルから約500キロに位置するツェツィー風力発電所の建設・運営支援に使われています。電力不足に悩むモンゴルにとって、環境面でも社会面でも意義の大きい事業といえます。

最後にヘイルブローン副総裁は、EBRDの設立メンバーでもある日本は重要なパートナーであり、今後も日本の機関や日本企業との協力体制を一層強化したいと締めくくりました。

質疑応答では、EUの国々との連携や投資先の選定基準、変わりつつある現在の国際情勢を踏まえた今後の展望などさまざまな質問が挙がり、活発な意見交換が行われました。

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