JICA緒方研究所

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日中韓露が開発と安全保障について議論する北東アジア開発協力フォーラムで発表—北野所長ら

2017年10月13日

各国からの参加者が互いの知見を共有(写真提供:UN-ESCAP)

2017年9月27、28日に、ロシアの首都モスクワにて、日本、中国、韓国、ロシアの開発学会などに所属する研究者と実務者の交流を目的とする「第4回北東アジア開発協力フォーラム」が開催されました。日本、中国、韓国、ロシアはいずれも、開発援助を受ける側と行う側の双方の経験を併せ持っています。この双方の経験を生かすために、互いの知見を共有し、協力の可能性について議論を交わす場として、2014年からUN-ESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)東・北東アジア事務所の主導により始まったのが本フォーラムです。

今回は、日中韓露のみならず中央アジア諸国やモンゴルからの参加者も交えて、ユーラシア地域における持続的開発と持続的平和の相互関係や、開発協力と安全保障問題の関連性について議論が行われました。具体的には、セッション1「ユーラシア、特に中央アジアにおける開発と安全保障のリンク」、セッション2「脆弱性を克服し強靱性を強化するための開発協力」、セッション3「SDGs実施のための北東アジア諸国の連携」、セッション4「開発協力分野におけるアカデミックな協力」のテーマに沿って議論が行われ、JICA研究所からは北野尚宏所長と志賀裕朗主任研究員が参加しました。

志賀主任研究員はセッション1に登壇し、ロシアと日本による中央アジアへの開発援助の共通点と相違点について発表。ロシアは、欧州とアジアにまたがっているという地理的要因、援助の出し手から被援助国となり、再び主要ドナーとして登場しつつあるという歴史的要因、新興ドナーのなかでも中国やインド、ブラジルとは異なって「南南協力」を標榜していないという事実によってユニークなドナーであると述べました。また、「日本とロシアの援助は貧困削減の重視や被援助国の自主性の尊重という点で共通するが、同地域の安定確保に向けたアプローチが異なっており相互補完性がある。ロシアの中央アジアに関する知識・経験の豊富さは、日本が同地域に援助を展開するうえでも参考になる」と指摘しました。

JICAはタジキスタンで幹線道路の改修を支援(写真:JICA/久野真一)

北野所長はセッション3に登壇し、「SDGs達成に向けた北東アジアの開発金融」と題した発表の中で、SDGs達成に向けた日中韓露の取り組みのほか、自身の最新の研究成果をもとに4カ国の援助額の推移を紹介しました。そして、4カ国の協力関係については、中央アジアではすでに中央アジア地域経済協力(CAREC)の枠組みの中にJICAやAIIB(ADBとの協調融資)の事業が位置づけられているほか、アフリカでもケニア・ウガンダの北部回廊マスタープランの中に、JICAの支援する港湾事業や中国が協力する鉄道事業が位置づけられていることを示しました。

同フォーラムでは、実態があまり明らかになっていないロシアの援助についてロシア側から説明があり、それを踏まえて4カ国の援助政策の異同が議論されましたが、日中韓露が被援助国の自主性を尊重するアプローチを採用する点で共通していること、今後も意見・情報交換を継続して協力関係を深化させていくことの必要性について見解の一致を見ました。

<発表資料>

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