JICA緒方研究所

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国際ボランティア会議で日韓米の国際ボランティア事業の展開について発表─岡部客員研究員

2018年1月22日

国際ボランティア会議では多種多様な講演やパネルディスカッションなどが開かれた

2017年10月22~25日に、韓国の首都ソウルで「国際ボランティア会議(International Volunteer Cooperation Organisations’ Conference: IVCO)2017」が開催され、JICA研究所の研究プロジェクト「国際ボランティアが途上国にもたらす変化とグローバル市民社会の形成」に取り組む岡部恭宜客員研究員(東北大学教授)と大貫真友子研究員らが出席しました。

IVCOでは、各国の国際ボランティア事業実施団体の指導者が一堂に会し、知見や成功例を共有する講演やパネルディスカッション、分科会などが行われます。2017年は「SDGs達成に向けたボランティア事業のトランスフォーマティブなパートナーシップ(Implementation of the SDGs through Transformative Partnership in Volunteering)」をテーマに掲げ、国際ボランティアネットワーク(Forum)と韓国国際協力団(KOICA:Korea International Cooperation Agency)が共催。39カ国の国際ボランティア事業実施団体、政府関係部署、教育機関などから約150人が参加しました。

3日間にわたる本会議1日目の23日は「戦略的な変化要因としてのパートナーシップ(Partnership as a strategic driver of change)」という小テーマのもと、トランスフォーマティブなパートナーシップの定義やその意義についての議論が展開。2日目の24日の小テーマは「画期的な資金調達と多様化(Innovative Funding and Diversification)」で、資金調達におけるイノベーションの重要性について話し合われました。3日目の25日は「知見と解決策(Knowledge and Solutions)」という小テーマで、ボランティア事業の開発への貢献をどう測るか、評価のための尺度などが論じられました。

分科会で日本と韓国の国際ボランティア事業の歴史について発表する岡部客員研究員

3日目の分科会では、「SDGs達成に向けての提携(Partnering to Demonstrate Success Towards the SDGs)」という共通テーマのもと、3つのケーススタディー研究のセッションが設けられました。そのうちの一つ「ボランティア事業を再考する(Rethinking of Volunteerism)」では、岡部客員研究員が「Diffusion of International Voluntary Service: U.S Peace Corps, Japan Overseas Cooperation Volunteers, and Korea Overseas Volunteers」と題して研究発表を行いました。

まず、日本および韓国で国家が主導する国際ボランティア事業が設立され、拡大していった経緯や歴史、1961年から展開されていた米国平和部隊(U.S. Peace Corps: USPC)からの影響などを紹介。さらに、1965年に始まった青年海外協力隊(Japan Overseas Cooperation Volunteers: JOCV)が1990年に発足した韓国海外ボランティア(Korea Overseas Volunteers: KOV)に及ぼした影響にも焦点を当て、3国の国際ボランティア事業の比較と相互のつながりについて述べました。

この発表に対し、KOVの設立経緯に詳しいKOICAのKim Byung-gwan多国間協力・人道支援室局長がコメントしたのをきっかけに、10月26日には岡部客員研究員がKOICAを訪問。韓国の各省庁による国際ボランティア事業を統合した「ワールド・フレンズ・コリア」(WFK)設立の経緯に関するKim局長への聞き取り調査につながりました。

また26日には、IVCO2018に向けた研究チームの活動内容策定や研究者同士の交流を目的に開かれた会合Forum Research Dayに大貫研究員らが参加し、意見交換を行いました。

世界中から各国の国際ボランティア団体が集まるIVCOに参加することで、研究と政策のつながりや国際潮流を把握し、個別の課題における各国の知識と経験を共有する有益な機会となりました。

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