JICA緒方研究所

ニュース&コラム

SDGs達成に向けて私たちにできることは何か?ジェフリー・サックス教授と大学生らが議論

2017年12月22日

サックス教授は「SDGsを学び、自分にできることを考えてほしい」と参加者に語りかけた

JICAは2017年11月29日に、上智大学にて同大学との共催セミナー「ジェフリー・サックス教授と語るSDGs白熱教室~持続可能な社会の実現に向けて若者ができること~」を開催しました。特に若い世代の人々に、この世界の将来やそれに向かって自身ができることを考え、議論してもらいたいというのが狙いです。

ジェフリー・サックス米コロンビア大学教授は、国連事務総長特別顧問として世界の貧困削減を目標に掲げる「ミレニアム開発目標(MDGs)」と、それに続く「持続可能な開発目標(SDGs)」の策定に中心的な役割を果たし、持続可能な開発ソリューションネットワークのディレクターを務めるなど、経済学者として開発援助の第一線で30年以上活動し続けています。このセミナーでは、サックス教授が参加者と共に、世界が抱える課題とSDGsの達成について議論しました。大学生、大学院生、留学生が約300人、民間企業や研究機関などから約100人が参加し、会場は熱気に包まれました。

上智大学の曄道佳明学長による開会あいさつでは、参加者の大半を占める学生たちに対し、次世代を切り開いていく当事者としてSDGsを達成するためにチャレンジしてほしいというメッセージが伝えられました。

続いて登壇した北岡伸一JICA理事長は、サックス教授との協力関係が、同教授らが立ち上げたNPO「ミレニアム・プロミス」によるアフリカの国々を支援する「ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト」を機に始まったことに触れ、国際社会が内向きになりつつある今こそが日本にとっても世界にとっても重要な時期だと指摘。日本は人間の安全保障、保健、教育、農業などの分野での開発協力の経験を世界に共有し、モデルを示すことができると述べました。

次に、サックス教授が講演。近代化の成功例として日本の明治維新に触れ、優れた経済、政治、教育モデルを構築するために欧米に学び、その成果を生かして日本独自の伝統や文化を保持しながら近代化を成し遂げた点を高く評価しました。サックス教授は、この事例を踏まえ、国家が健全な発展を遂げるためには、自国が一番という傲慢な態度を捨て、各国の優れた事例から学び、協力体制を構築することが大切だと説明しました。

しかし現実には一部の巨大企業に富と権力が集中し、貧富の差が急激に拡大、しかもその豊かさは環境を犠牲にして成り立っているとも指摘。気候変動によって洪水や干ばつ、森林火災といった自然災害が世界中で起きている現状にも警鐘を鳴らしました。こうした状況を改善するために、包括的な視点を重視するSDGsが生まれたと説明し、「環境に負荷を与えず、社会的に公正な世界を」という共通の目標に向かって進むことが必要だと強調しました。

サックス教授と春原上智大学特任教授が参加者から直接質問を受けつけ、意見交換

その後、春原剛上智大学特任教授がモデレーターを務めながら、会場の参加者がリアルタイムでSDGsに関するQ&Aに答え、その結果にサックス教授がコメントしました。「『アメリカ・ファースト』に代表されるような国益や個人の利益を追求する自国第一主義は今後も広がると思うか?」という質問に、参加者の6割が「思う」と回答。サックス教授はこれに対し、SDGsの達成を阻む危険な兆候だと危機感を表しました。また、「日本はODAを減らすべきか?」という質問に、ほとんどの参加者が「減らすべきではない」と回答。サックス教授も、今後ODAの役割はますます重要になると指摘し、経済的な支援だけでなく人材育成の分野での支援にも目を向けるべきだと述べました。

会場からの質疑応答では、開発途上国がSDGsを達成するためには日本がどのようなイニシアチブを取る必要があるか、SDGsに民間セクターを巻き込むためにはどのような方策があるかといった質問が投げかけられました。サックス教授は最後に「SDGsをもっと学び、世界を変えていくためにどんなアクションを起こせるか考えてほしい」という強いメッセージを若者たちに示し、議論を締めくくりました。

<関連記事>JICAウェブサイト セミナー・シンポジウム報告

関連動画

【動画】講義「我々の世界を変革する:持続可能な開発の時代」/ジェフリー・サックス教授(JICA研究所Youtube公式チャンネル)
※同時通訳の日本語音声を収録しています。英語版はhttps://youtu.be/Dk-uhQ1F7PQからご覧になれます。

【動画】ディスカッション「世界をどう見るか、若者たちにできること」(JICA研究所Youtube公式チャンネル)
※同時通訳の日本語音声を収録しています。英語版はhttps://youtu.be/bqFD8A__U5Uからご覧になれます。

ページの先頭へ