JICA緒方研究所

ニュース&コラム

北東アジア開発協力フォーラムで開発協力評価の在り方について議論—萱島所長ら

2018年9月27日

JICA評価部の新井和久部長が日本の評価事業について紹介

2018年9月14、15日に、韓国・ソウルで北東アジア開発協力フォーラムが開催され、JICA研究所の萱島信子所長とJICA評価部の新井和久部長が参加しました。

日本、中国、韓国、ロシアはいずれも、開発援助を受ける側と行う側の双方の経験を併せ持っています。それを生かすために、互いの知見を共有し、協力の可能性について議論を交わす場として、2014年からUN-ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)東・北東アジア事務所が主導し、4カ国の国際開発学会が参加して始まったのが本フォーラムです。5回目の開催となる今年は、「SDGsの達成に向けた東北アジア諸国の開発協力評価」をテーマに、各国の開発協力評価の現状報告や課題の分析、今後の在り方などを議論。萱島所長は「政策・プログラムレベルの評価」セッションのコメンテーターとして、新井部長は「プロジェクトレベルの評価」セッションのプレゼンターとして登壇しました。

同フォーラムでは、4カ国の援助機関担当者や研究者から各国の開発協力評価の現状について発表が行われ、日本と韓国はOECD開発援助委員会(DAC)の評価基準に基づいた評価を行い、非常に類似した評価の仕組みを構築していることが報告されました。一方、中国とロシアについての発表では、まだ開発協力評価はほとんど行われていないものの、この2カ国による協力は既存の先進国の援助とは異なる南南協力であり、DACの評価基準とは異なる評価体系が必要であることが強調されました。具体的には、「National Ownership」、 「Horizontality」、「Mutual Benefit」、「Soft Power」、「Economic Benefits」、「Security Benefits」などといった観点を評価に取り込む必要性や可能性について議論されました。

新たな評価の在り方について議論する重要性に触れたJICA研究所の萱島信子所長(中央)

萱島所長は、「これらを今後、実用可能なものにするには相当な検討が必要だが、こうした新興援助国の南南協力の評価方法を検討することは、それらの事業が誰のためのどのような効果を生むものであるのかといった、協力プロジェクトの性格を明らかにするものであるという点でも大変興味深い」と述べました。
 
参加4カ国の中では、外務省とJICAによる2段階の評価体制や年200件にのぼる事後評価件数などからも日本の評価事業の蓄積は抜きんでており、日本と類似した評価体制を整えている韓国と比べても、その差は大きなものがありました。そのため、韓国、中国、ロシアの参加者から日本の評価事業の経験共有を望む声は大きく、今後、実務者や研究者のそれぞれのレベルで日本の知見が共有されることが望まれます。

萱島所長はこのフォーラムを振り返り、「日本のODAにおいても、官民連携や国益重視といった新たな側面も生まれており、これらの評価は今後の課題。新興援助国の南南協力評価の在り方についても継続的に情報交換することは、この点でも日本にとって有意義だ」と所感を述べました。

ページの先頭へ