JICA緒方研究所

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日本企業と共にSDGs達成を目指すために─ジェンダーと経済的包摂を中心にEBRD副総裁がJICA研究所で講演

2019年5月7日

講演するピエール・アイルブロンEBRD副総裁

2019年4月15日、JICA研究所は欧州復興開発銀行(The European Bank for Reconstruction and Development: EBRD)との共催セミナー「EBRDのSDGsへの対応と投資プロジェクトへの取り組み ─ジェンダーと経済的包摂を中心に─」を開催。EBRDのピエール・アイルブロン副総裁がJICA研究所で講演し、JICA職員や民間企業関係者らが参加しました。

EBRDは冷戦後の1991年に設立された国際開発金融機関です。かねてよりジェンダーと経済的包摂を、本業の金融業務に単なる政策対応を超える形で積極的に取り入れ、中・東欧圏から中央アジア、近年ではエジプトやモロッコなどにも投融資を実施。日本企業の海外投資プロジェクトも積極的に支援しています。

JICAもまた、持続可能な開発目標(SDGs)達成への取り組みの一環として、海外投融資事業や中小企業海外展開事業などを通じ、日本の民間企業の投資やビジネスによる開発課題の解決を目指しており、事業のあらゆる段階でジェンダーの視点を組み込んでいます。セミナー冒頭、開会のあいさつに立ったJICA研究所の藤田安男副所長は、このような両機関の関係を紹介したうえで、SDGsの達成には公的部門だけでなく民間セクターの役割が不可欠であるとし、本セミナーの開催は極めて有意義であると述べました。

続いて、アイルブロン副総裁が登壇。EBRDは、雇用・技術・起業家支援資金・公共サービスの提供を通じたジェンダーの平等・経済的包摂を目指す戦略として、2016年に「Strategy for the Promotion of Gender Equality」を、2017年に「Economic Inclusion Strategy」を策定したことを紹介しました。そのうえで、この2つの戦略に基づく具体的な成功事例を発表。トルコのタイヤメーカーにおける若年層を対象にした職業訓練では女性の就業率が上がり、カザフスタン政府との共同による女性に対する就業制限を撤廃する働きかけでは、わずか3年で、女性の就業が禁じられていた職業300のうち、100が取り下げられたとのことです。

発表に耳を傾けるJICA職員、民間企業関係者ら

また、EBRDが行っている「Women in Business」についても言及。このプログラムは、起業を希望する女性にビジネスのアドバイスと資金の両方を提供するもので、すでに18ヵ国で展開し3万5000人以上を支援しています。アイルブロン副総裁は「女性の活用と経済的な包摂、かつ民間セクターとの協同という包括的なアプローチをとることで社会・経済に大きな変化が期待できる。これは補助金や交付金で開発を進める従来の手法による効果をはるかにしのぐ」と述べ、講演を締めくくりました。

質疑応答では、ジェンダーへの取り組みを企業に促進させるための具体的な方策はどのようなものかという参加者からの問いに対して、アイルブロン副総裁は、例えば女性の就業率を高めることを投資の条件とするなど、プロジェクト開始後はコンサルタントとも協力し、目標達成のために企業をサポートしていると回答。他、複数の質問があがり活発な意見交換がなされました。

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