日本・中国・韓国・ロシアの研究者らが北東アジア開発協力フォーラム2019で多国間協力の再構築について議論

2019.10.18

2019年9月27、28日の2日間にわたり、北東アジア開発協力フォーラム2019がJICA研究所で開催されました。同フォーラムは、開発援助を行う側と受ける側という両方の経験を持つ日本、中国、韓国、ロシアなどの北東アジア諸国が、自国の知見を共有しながら、開発援助の今後の課題や協力の可能性について議論することを目的としています。

北東アジア諸国の多国間協力の再構築についてさまざまな立場から議論

2014年から国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)東・北東アジア事務所が主導し、6回目を迎えた今回のテーマは「多国間協力の再構築とSDGs達成に向けた北東アジア諸国の役割」。2000年代最初の10年間、多国間協力は経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)ドナーなどから広く支持されたものの、2010~2019年の10年間には多国間主義よりも一国中心主義やナショナリズムが世界中で勢いを得ており、国連機関や多国間開発銀行は大きな挑戦に直面しています。一方で、北東アジア諸国は、アジア開発銀行(ADB)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)といった枠組みを整備してきました。それを踏まえ今回のフォーラムでは、日本、中国、韓国、ロシアがこれまで行ってきたそれぞれの多国間協力のアプローチの変遷が各セッションで発表され、今後どのように持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与できるか議論が交わされました。

27日の冒頭では、UNESCAPのGanbold Baasanjav東・北東アジア事務所代表、 JICA研究所の大野泉研究所長、国際開発学会(JASID)の山形辰史会長、外務省国際協力局の髙杉優弘審議官が開会の辞を述べました。

Baasanjav東・北東アジア事務所代表をモデレーターに迎えた第1セッション「Reinventing the role of multilateral cooperation of North East Asian countries」では、ADBの木村知之戦略・政策局長、バングラデシュの政策対話シンクタンク「Center for Policy Dialogue」のDebapriya Bhattacharya特別上席研究員、早稲田大学の北野尚宏教授(JICA研究所客員研究員)、JICA研究所の藤田安男副所長、中国農業大学のXiaoyun Li特別教授、ソウル大学校のKwon Huck-ju教授が登壇しました。会場からの質疑応答では、「民間セクターからの投資は、公共財、特に気候変動の分野に貢献していないという調査結果があるが、どうすれば規制できるのか?」といった質問があがり、活発な議論が展開されました。

同日の第2セッション「Roles of Northeast Asian countries to facilitate multilateral cooperation: China’s approach」には北野教授も参加し、中国の多国間協力の推移や特徴について議論され、第3セッションでは韓国、翌28日の第4セッションではロシアの多国間協力のアプローチについて議論されました。そして第5セッション「Roles of Northeast Asian countries to facilitate multilateral cooperation: Japan’s approach」にはJICA研究所の佐藤仁客員研究員(東京大学教授)が登壇し、日本の多国間協力の知見を発表。最後の第6セッションでは、今後北東アジア諸国が果たす役割や展望について共有されました。

関連する研究者

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
トピックス一覧

RECOMMENDこの記事と同じタグのコンテンツ