JICA緒方研究所

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アフリカ統合への道をどう開拓していくか?AUDA-NEPADのマヤキ長官と共に議論

2019年11月18日

約100人が参加し、アフリカへの関心の高さが伺われた

2019年11月7日、アフリカ連合(AU)の開発機関African Union Development Agency(AUDA) - New Partnership for Africa’s Development(NEPAD)のイブラヒム・マヤキ長官を迎え、「“Africa’s Critical Choices: A call for a Pan-Africa roadmap” and Opportunities for Japan アフリカの重要な選択:アフリカ統合への道筋と日本のチャンス」と題した公開セミナーがJICA市ヶ谷ビルで開催されました。

マヤキ長官は、1996年からニジェールの外務大臣や首相を歴任し、2008年からはNEPADの長に就任。このセミナー当日には、日本とニジェール、そして日本とAUの関係強化に長年寄与したとして、旭日大綬章を受章しました。冒頭のあいさつに立ったJICA研究所の大野泉研究所長は祝意を表し、「今日のセミナーは、アフリカの開発について将来の新しい方向性や、日本の公私両セクターが期待されている役割を理解する上で非常に価値のある機会になる」と述べました。

基調講演を行ったAUDA-NEPADのイブラヒム・マヤキ長官

続いて、マヤキ長官が新著『Africa’s Critical Choices: A call for a Pan-Africa roadmap』に基づき、アフリカの今後の開発戦略についての基調講演を行いました。「アフリカは将来について自身の知見を蓄えつつあり、大きな転換期にある。書籍では、アフリカの開発戦略についてのロードマップを示した」と述べました。

論点として挙げられた一つ、“Transitions(変容)vs Policies(政策)”では、今後20年で毎年2000万人の雇用を創出する必要がある人口動態、携帯電話の普及によるコミュニケーションメカニズム、気候変動に影響を受ける天然資源管理、都市と地方に明確な境界線がなくなった都市化、インフォーマルセクターの台頭による産業構造での変容に触れ、「これらの変容に対応するには政策立案者のキャパシティー不足が課題。従来のトップダウンだけではなく、ボトムアップアプローチを組み合わせる必要がある」と述べました。 また、“Global uncertainties(グローバルな不確実性)vs African uncertainties(アフリカの不確実性)”については、気候変動対策や紛争解決、自由貿易に向けた多国間主義を新たに強化する必要性を、“Governance(ガバナンス)vs Power(力)”については、若者が人口の多数を占めるアフリカでは“力”のコンセプトが変わり、テクノロジーを通して若者を政治的なプロセスへ巻き込んでいく重要性を指摘しました。

以上の論点を踏まえ、“Africa’s Critical Choices(アフリカの重要な選択)”として、地方と都市の両方の視点を取り入れた政策の協働策定、ODAへの依存ではなく、民間投資を通じた知識の移転による国内のリソースの活用、アフリカの国々にまたがる経済回廊といった国ではない地域単位での開発促進を挙げました。最後に“Opportunities for Japan(日本への機会)”としては、「日本企業によるアフリカへの投資は2012年と2018年を比べると2倍に大きく成長している。アフリカ域内の物流についてはまだ課題が残るが、ビジネス環境は改善し、アフリカが日本企業にとってフロンティアであることに変わりはない」とまとめました。

コメンテーターとして参加した京都精華大学のウスビ・サコ学長(中央)と経済同友会アフリカ委員会の横井靖彦委員長(右)

続いて、2人のコメンテーターと意見交換が行われました。

マリ出身で、日本初のアフリカ出身の学長となった京都精華大学のウスビ・サコ学長は、教育者の観点からアフリカの若者への教育の重要性を指摘。マヤキ長官もこれに同意し、加えて「アフリカの若者がグローバルな情報にアクセスできるようになれば、自分なりの意見を持ち、分析ができるようになる。それが自立した市民であり、真の民主主義の基礎」と述べました。

経済同友会アフリカ委員会の横井靖彦委員長は、アフリカ大陸自由貿易圏の設立に触れ、日本企業によるアフリカ進出への期待を示しました。それに対しマヤキ長官は、アフリカのビジネス環境の現状として、インフラなどのハード面と税関職員の能力向上といったソフト面の課題について挙げました。

その後、会場からも多くの質問が挙がり、活発な議論が行われました。

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