コロナ特設ページ開設にあたり大野研究所長がメッセージを発信

2020.06.10

より良い世界をめざして(Build Back a Better World)

新型コロナウイルス危機は、地球規模の影響、保健危機だけでなく経済・社会全般に及ぶ影響、不確実性の長期化などの点で、未曽有の経験になりました。グローバル・パンデミックは私たちに世界のつながりを強く示し、国際協力の重要性を改めて喚起しています。

各国が感染拡大(再発)防止に追われる今、私たちは、多くの開発途上国が脆弱な保健・医療システムや厳しい経済財政状況下にある現実を直視しなければなりません。IMFによれば、コロナ危機の影響による経済の落ち込みは1930年代の大恐慌以来であり、国連は1日1.9ドルで暮らす極度の貧困層が2030年までに新たに約1億3000万人増えると警告しています。さらにコロナ危機は、先進国における医療システムや格差などの問題を浮き彫りにし、「北から南へ」の伝統的な国際協力にとどまらない、多様なアプローチの必要性を示唆しています。

コロナ後の世界をより良く立て直し(Build Back Better)、「誰一人取り残さない」世界を実現していく上で、羅針盤となるのが、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)です。「人間の安全保障」と「質の高い成長」(持続性・包摂性・強靭性)の実現をミッションとするJICAの研究所として、私たちは、途上国の視点に立ってコロナ危機の影響を分析し、今後の国際協力の在り方を含め、知的探究・発信を積極的に行っていきます。

こうした思いから、JICA緒方研究所はこの度、コロナ関連研究の特設ページを立ち上げました。特設ページは2つの点で、私たちにとってイノベーティブな知的挑戦です。第1に、特定の領域・研究プロジェクトを超えてマルチセクターで取り組むこと。第2に、問題提起型の論考・論文、コラム、セミナー(Webinar)などの媒体を組み合わせて、タイムリーな発信を試みることです。JICAの強みである途上国現場のデータや、今まで培った内外ネットワークをフルに活用して、挑戦的な研究・発信活動に取り組んでまいります。

2020年6月
JICA緒方貞子平和開発研究所 
研究所長 大野 泉

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