ラスト・ワン・マイル支援と今後の感染症対応を見据えたG7開催記念イベントで駒澤研究員が発表

2023.05.11

日本でのG7開催を記念し、UNICEF主催(JICA後援)により2023年4月25日に開催されたイベント「Bottom-up Stocktaking of Lessons Learned From ‘Last One Mile Support’ and Technical Consultation on Equitable Access and Delivery of Medical Countermeasures(ラスト・ワン・マイル支援に関する現場からの教訓と感染症危機対応医薬品の公平なアクセス・デリバリーのためのテクニカル・ダイアローグ)」に、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の駒澤牧子研究員が登壇しました。

ウガンダのケーススタディーなどについて発表したJICA緒方研究所の駒澤牧子研究員

このイベントは、日本政府が重点イニシアティブとして掲げるコロナワクチンを接種現場まで届けるためのコールド・チェーン整備や医療関係者の接種能力強化などのための「ラスト・ワン・マイル支援」(日本は78ヵ国・地域へ185億円の拠出)や、国際社会・各国による新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)への対応事例を共有し、今後の危機への備えとして、感染症危機対応医薬品(Medical Countermeasures: MCMs)の公平なアクセス・デリバリーを可能にするためのニーズを特定することが目的です。開発途上国を含むグローバル・サウスの政府関係者、G7およびG20諸国のグローバルヘルス専門家、開発パートナー、研究者など、約100人が参加し、活発な議論が交わされました。

UNICEF、外務省、JICAからの開会あいさつに続き、UNICEFはラスト・ワン・マイル支援として世界の38団体・基金から約6,000億円を受領し、138ヵ国にワクチンを配布した実績、コロナの検査・治療・ワクチンの3つの医療ツールの開発・生産を加速化させる国際協働の枠組みであるACTアクセラレーター(Access to COVID-19 Tools Accelerator: ACT-A)の成果と教訓を報告しました。さらに、ソマリアとフィリピンの保健省の代表が、自国におけるコロナ対策の教訓や今後の課題、日本政府およびJICAによる支援と成果などを共有しました。

それに引き続き登壇した駒澤研究員は、ウガンダのケーススタディーを発表し、日本政府がUNICEFを通じて支援したラスト・ワン・マイルプログラムの成果と、JICA緒方研究所の研究プロジェクト「COVID-19研究:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と強靭な社会に向けて」の研究成果について紹介しました。

ウガンダにおけるラスト・ワン・マイルプログラムの成果

駒澤研究員は同プロジェクトの一環で「低中所得国におけるCOVID-19対応が基礎的保健サービスに及ぼす影響に関する研究」に取り組んでおり、ウガンダの研究対象地域の人々にとっては、コロナの影響よりもロックダウンによる移動の困難さの方が母子保健やマラリア・HIV検査などの医療サービスの利用を阻害していた点について、調査データを用いて明らかにしました。

多くの発表者から“One team, One plan, One budget”の理念の下、各国政府や国際コミュニティーなどが一丸となって取り組み、迅速にワクチン・コールド・チェーンが整備されたことが強調されました。

最後の討議セッションでは、中央政府と末端の保健デリバリーシステムとの連携、協働の重要性が指摘されたほか、特にワクチンへのアクセスが難しい状況にある人々に届ける方策については、フィリピンやウガンダの経験から末端のヘルスボランティアを巻き込むことが有効であり、それを今後さらに強化する必要があるという意見が交わされました。

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