高原前所長と北野客員研究員がザンビアの「JICAチェア」で 日本の発展の経験について特別講義

2023.05.12

日本の近代化と国外での開発協力の過程で蓄積した経験を開発途上国のパートナーに伝える取り組みとして、ザンビアで2回目となる「JICAチェア」を、2023年2月22日に開催しました。

ザンビアでのJICAチェアの参加者ら

今回は、ザンビア大学(University of Zambia: UNZA) および南部アフリカ政策研究機構(Southern African Institute for Policy and Research: SAIPAR)との共催で、同大学および同国中央政府関係省庁から80人が参加しました。JICA緒方貞子平和開発研究所の高原明生研究所長(当時)が基調講演「資源なき日本はどのようにして発展したのか」を行い、北野尚宏客員研究員(早稲田大学教授)が「戦後日本の開発‐連結性強化と都市化の経験」をテーマに講義を行いました。

モデレーターは、前ザンビア大学上級講師(地理・環境学専攻)で、現在はSAIPAR研究員のゴッドフリー・ハンプワイエ博士が務めました。開会のあいさつで、UNZAのムニャティ自然科学学部長および米林徳人JICAザンビア事務所長が、日本の開発の知見がザンビアのさらなる発展に役立つことへの期待を述べました。続いて、JICAがザンビアで実施する事業の4本柱(民間セクター開発、農業、社会開発、インフラ開発)についてJICAザンビア事務所より紹介しました。

高原研究所長(当時)の基調講演では、物的な資源に乏しい日本が人材を資源と捉え、その育成に注力してきたこと、また個の力は不十分であったとしてもチーム(集団)を組むことで力を発揮し、日本の成長に貢献してきたことやその限界について言及しました。

北野客員研究員による講義では、日本が第二次世界大戦後、ドナーからの資金支援を受けながら連結性を強化するインフラ開発を推進して高度経済成長を遂げたことや、公害などの負の側面があったことを紹介しました。その上で、滞在中に視察したルサカ南部の経済特区開発を例に挙げ、ザンビアが近年注力する民間部門の育成が、国家の発展に今後も大きなインパクトをもたらすことへの期待を述べました。

参加者との質疑応答では、戦後、財政的に豊かではなかった日本が教育の無償化をどのように実現してきたのか、昨今の人口減少と高齢化の加速にどのように対応しているか、研究開発機関および民間企業が日本の地域開発に果たした役割などについての質問が投げかけられ、活発な議論が繰り広げられました。

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