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「災害・貧困・開発」に関するワークショップを東京大学・一橋大学・JICA研究所が共催

2011.10.13

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(左から)アルバート・パーク教授、フランソワ・ブルギニオン氏、イラン・ノイ 准教授、ジョナサン・モーダック教授、澤田康幸准教授

10月3日に、「災害・貧困・開発」と題するワークショップがJICA研究所で開催されました。このセミナーは、災害が人々の生活に及ぼす影響とその対策について、最新のマクロ及びミクロ経済学の研究結果を共有することを目的として、東京大学、JICA研究所及び一橋大学の共催により開催されました。

東日本大地震と津波により、人間は大規模な自然災害の前では小さな存在であるということを人々は実感させられました。私たちの生活は、このような自然災害に加え、経済危機や技術的災害(放射能漏れ、輸送事故等)を含む人災など、様々な脅威にさらされています。その際、最も大きな被害を受けるのは貧困層です。いま、社会・経済的な災害被害リスクを軽減するため、効果的な災害対策メカニズムを確立することが国際社会にとって急務となっています。

まず初めに、JICA研究所の細野昭雄所長が、JICAの災害リスク軽減策について発表をおこないました。細野所長は、世界各地で実施されたJICAの災害対策プロジェクトの事例をいくつか挙げながら災害分野におけるJICAのこれまでの実績を示し、今後もさらに同分野に力を注いでいく姿勢を表明しました。

細野所長の発表に続き、世界銀行前チーフエコノミストであり、パリ・スクール・オブ・エコノミクス学長のフランソワ・ブルギニオン氏が「保険としての開発援助」と題する基調講演を行いました。ブルギニオン氏は、援助効果について最新の議論を紹介した上で、援助を災害時の貧困層にとっての“保険”としてとらえるという新たな視点を提示しました。さらに、保険という意味で効果的な援助手法を二つ紹介しつつ、それらを他の対策と組み合わせて実施することが重要だと主張しました。

その後、澤田康幸東京大学准教授(JICA研究所客員研究員)、イラン・ノイ ハワイ大学准教授、アルバート・パーク香港科技大学主任教授、汪三貴(ワン・サンギ)中国人民大学教授、高崎善人筑波大学教授、黒崎卓一橋大学教授、ジョナサン・モーダック ニューヨーク大学教授など、多くの著名な経済学者によって災害に関する研究結果が発表されました。

澤田准教授は様々なタイプの災害を分類化して紹介し、その最新の研究動向を解説しました。その他、災害が経済成長に与えるインパクト、四川大地震の学童への影響、パキスタンの自然災害における貧困世帯の耐性など、多岐に渡るテーマで発表と議論が行われました。

ブルギニオン氏は、本ワークショップは多様な研究結果を知ることができ非常に有意義だったと語り、災害といった重要なテーマについて議論できたこと、特に自然災害が途上国の発展に壊滅的な被害を与えるため、この機会は貴重だったと述べました。さらに、革新的な援助手法が生み出されつつある、このような理論的に有効なプログラムでも実際の適用には様々な制約が観察されており、そうした制約を取り除くために今後議論を深めていくべきだと指摘しました。

ムービー・コメンタリー

フランソワ・ブルギニオン
Director
Paris School of Economics

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