JICA緒方研究所

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コンゴ民主共和国のDAC会合に研究員が出席

2011年4月22日

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DAC会議場の様子(コンゴ民主共和国、キンシャサにて)


JICA研究所の室谷龍太郎リサーチ・アソシエイト(RA)は2011年4月13、14の両日、コンゴ民主共和国の首都キンシャサで開催された「平和構築および国家建設に関する国際対話」作業部会に出席しました。この会合は、経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)の下部組織「紛争と脆弱に関する国際ネットワーク(INCAF)」が「g7(脆弱7カ国)プラス」と共催するもので、脆弱国における「キャパシティ・ディベロップメント(CD)」と「援助手法」をそれぞれどのように改善するかについて話し合われました。

 

この会合に参加したのは、日本やスウェーデンなどINCAF加盟の援助国や、コンゴ民主共和国や東ティモールなどg7プラス加盟国・地域、国際援助機関、NGOなどから総勢約40人(20カ国・地域以上)。13日に「CD作業部会第2回会合」、14日には「援助手法作業部会第2回会合」が開かれ、異なる立場の人たちが一堂に会して率直な意見交換を行ったのが特徴です。


キャパシティ・アセスメントの実施を
 
CD作業部会で大きな注目を集めたのは、NGO代表者の発言です。「国家のキャパシティを高めるには、行政機能を強化するだけでなく、市民社会のキャパシティを向上させることが必要不可欠」と指摘し、参加者から広く賛同を得ました。社会全体のキャパシティという視点は、前回の第一回会合では行政機能強化に議論が集中したため、「キャパシティとともに正当性も考慮すべき」との考えから室谷RAをはじめ何人かの参加者が指摘していた点です。



また、援助国に対して、脆弱国の政府はこぞって「援助のあり方を変えてほしい」と要望。その1つとして、優秀な人材を育てるために、高等教育への支援を増やしてほしいと述べました。脆弱国側はさらに、脆弱国の行政組織の役割を代替することを目的に世界銀行などが各国で設置し、インフラ整備などを進める「プロジェクト実施ユニット」(PIU)のマイナス面(PIUに優秀な人材が集まり、政府自体のキャパシティが向上しない)についての言及もありました。



こうした一連の議論の中で、室谷RAは「CD支援を考えたとき、まず、脆弱国自身が自らのキャパシティを知って、その中で具体的に何が足りないかを明確にし、関係者の認識を共有していく必要がある。『キャパシティ・アセスメント(課題対処能力を評価すること=CA)』を実施すべきなのでは」と提案しました。



CAとは分かりやすく言えば、「将来の望ましいキャパシティレベルと現在のキャパシティレベルを比較し、そのギャップを分析すること」です。室谷RAは「脆弱国ではあまりCAは実施されていない。CAの結果をドナーを含む関係者間で共有し、同じ認識をもつことが大切。この繰り返しが相互学習の場となり、ひいては社会全体のキャパシティ向上にもつながる」と力説しました。


一般財政支援を巡る議論と新たな指標策定の提案

援助手法作業部会では、脆弱国側から、被援助国(脆弱国)が援助資金を一般財政として受け取ることができる「一般財政支援」を援助国側に強く求めました。これは、援助資金を脆弱国自らが管理できることを意味します。



脆弱国にはその貧しさから税収が極端に限られている国・地域も少なくありません。資金がなければ政府は何も実現できない、というのが脆弱国側の主張です。しかし、政府が機能していない国・地域に対する一般財政支援は大きなリスクを伴うことなどから、他の援助手法の方が有効な場合もあります。会合では「状況に応じて、適正な援助手法の組み合わせを考える必要がある」という意見が多数出されました。



最後に、「平和構築と国家建設にかかわる国際社会の目標」の策定が提案されました。コンゴ民主共和国が呼びかけたもので、ミレニアム開発目標(MDGs)には平和構築や国家建設に直接かかわる目標がないというのがその理由です。



貧困や幼児死亡率の削減などを目指すMDGsの達成には当然、国家が平和でなければなりません。しかし現実は、脆弱国にとってMDGsは遠すぎる目標であり、その中継点としてまずは平和構築・国家建設の実現を後押ししようというのが狙いです。



目標の具体例としてコンゴ民主共和国の代表者が示したのは「国民が関与でき、正当性をもつ政府を樹立すること」「紛争を予防できるよう調停機関を設置すること」「司法へのアクセスを保障すること」「雇用を確保すること」などです。



平和構築および国家建設に関する国際対話は、今回開催された「CD」と「援助手法」以外にも、「計画策定プロセス」と「政治対話」の2つの作業部会があります。今後は、6月にも西アフリカのリベリアで全体会合を開き、提言の素案をまとめあげます。そして、11月に韓国プサンで開かれる、開発援助の重要な枠組みが議論される「ハイレベルフォーラム4」で提言を提出、採択を目指します。

 

関連研究領域:援助戦略

 

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多くの生徒が学ぶ職業訓練校

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機械を使った実習

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訓練を受ける生徒たち

日時2011年4月13日(水) ~ 2011年4月14日(木)
場所コンゴ民主共和国 キンシャサ



開催情報

開催日時2011年4月13日(水)~2011年4月14日(木)
開催場所コンゴ民主共和国 キンシャサ

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