JICA緒方研究所

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援助は平和に寄与しているか ワークショップで室谷RAは「政府の正当性が重要」

2011年2月24日

ノルウェー政府主催の「紛争予防・平和構築活動の評価に関するワークショップ」が2011年2月16~17日、ノルウェーのオスロで開かれ、日本からはJICA研究所の室谷龍太郎リサ-チ・アソシエイト(RA)とJICAの橋本敬市・国際協力専門員が出席しました。この会合に集まったのは、経済協力開発機構(OECD)の下部組織である「開発評価に関するDAC(開発援助委員会)ネットワーク」(EVALNET)や「紛争と脆弱性に関する国際ネットワーク」(INCAF)などに所属する政策関係者や援助評価者ら総勢65人です。

ワークショップの開催目的は、OECD/DACが08年に公表し、援助機関やNGOの間でこれまで試験的に使用されてきた「紛争予防と平和構築活動の評価ガイダンス」(草案)について有益な知見を得ることです。さまざまな人たちが実際にこのガイダンスを使ってみて、どんな問題点があったのか、どう改善すればいいのか、といった意見を出し合い、その中身を現在策定中の最終版に反映させていきます。

このガイダンスは文字通り、脆弱国の和平実現にドナーの援助がいかに寄与しているかを評価するもので、あらゆる手段を駆使して紛争を止めよう、というのが趣旨です。ワークショップでは、このガイダンスを実際に用いて和平に対する国際社会の関与の寄与度を測った評価結果(コンゴ民主共和国や南部スーダン、スリランカなどでの紛争予防・平和構築に、ドナーからの援助がどの程度寄与したか)が発表され、評価の信頼性について熱い議論が交わされました。

Norway.JPGこうした流れの中、室谷RAは「(和平に対する援助の寄与度を)評価するにあたっては、(援助が)その国の政府の正当性にどのような影響を与えているかをもっと考えるべき。国民の多くが『正当』と認めない政府に対して援助をしたとしても長期的な平和構築への効果は期待できない。評価基準として、政府の正当性の変化を(可能ならば定量的に)測る必要がある」と主張しました。 

たとえばスリランカでは、多数派民族のシンハラ人(総人口の7割以上)を主体とする政府が行っています。政府は和平合意を破棄し、タミル人の反政府組織を壊滅させました。こうした経緯から、タミル人の大半は、現在のスリランカ政府を「正当」とは認めていません。

「こういった環境の下では、援助が政府の正当性に与える影響を考慮することが必須になる。ただし、『援助』という一面だけで平和構築への影響を評価するのか、外交、防衛、開発が一体となった影響を評価するのか、参加者の間にはかなりの意見の相違があった」と室谷RAは話します。また、援助評価の専門家らの間では「援助の効果は、どの案件も同じ基準で測るべき。紛争が絡むからといって異なる評価基準を設けてしまうと案件ごとのさまざまな比較ができなくなる」との否定的な意見も根強いところです。 

室谷RAはこのほか、JICAが独自に策定した「紛争影響国におけるプロジェクト評価ガイドライン」(仮称)をワークショップの中で紹介しました。このガイドラインは、評価の対象を「紛争そのもの(on conflict)に対するアプローチ」だけでなく、「紛争地(in conflict)の案件すべて」として従来の援助評価の手法を基礎にしていることが特徴で、この点が参加者から大きな関心を呼びました。

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関連研究領域: 武力紛争予防と国家建設

 

日時2011年2月16日(水) ~ 2011年2月17日(木)
場所ノルウェー オスロ
主催者ノルウェー政府



開催情報

開催日時2011年2月16日(水)~2011年2月17日(木)
開催場所ノルウェー オスロ

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