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危機の分析——東アジアの政治的、経済的な対応の研究

2010.09.30

1965-1991年に急速な経済成長を遂げた「第一の東アジアの奇跡」後、1997-98年および2008-09年の金融危機からの東アジア諸国の強い回復力とその影響からの立ち直りの早さには驚くべきものがありますが、この「第二の東アジアの奇跡」のメカニズムについては未だにほとんど説明されていません。その素早い回復からの教訓は、今後の同地域における経済発展の持続性にとって大変有益なものとなる可能性があります。そこで、JICA研究所では新たな研究プロジェクトを立ち上げています。

政治学者と経済学者の連携による本研究プロジェクトは、1997-98年の金融危機後の制度的な変化と持続について明らかにするとともに、それらの変化と持続がどれだけ東アジアの回復に貢献したかについて調査するものです。同プロジェクトでは、制度に焦点を当てることを通じて、アジア諸国が高まるグローバル化の波とどのように結びつくようになったのかを分析します。

カリフォルニア大学バークレー校のT.J.ペンペル教授、および早稲田大学の久米郁男教授らからなる研究チームは、9月20日、21日の2日間 、JICA研究所でワークショップを開催し、それぞれの研究の進捗状況の確認と今後の方向性を議論しました。JICA研究所からは、恒川惠市所長、岡部恭宜研究員、ジャン・クロード・マスワナ研究員が関連論文を発表しました。

本ワークショップでは、二度の金融危機からの急速な回復が可能になったのは、アジア諸国が利益を得る形で成功裏にグローバル化と結び付いたためである、という考え方に立ち、次の課題について議論を行いました。すなわち、各国の2つの危機への反応およびその帰結はどのようなものだったのか、その反応は国民の合意を反映したものなのか、それとも意見が対立するような内容だったのか、そして、現在回復の要因として挙げられているものは経済発展の持続性に資するものであるのかといった課題です。

本研究に関するすべてのワーキングペーパーは、2011年半ばまでにJICA研究所から刊行され、その後書籍に編纂される予定です。東アジア経済の回復力と継続について研究を深めることは、JICAが同地域で行う援助戦略の再検討にも役立つものと考えられます。また、東アジアの国家制度の構築と転換に関する経験は、世界の全ての地域の国家が経済開発に果たす役割について、新たな議論に貢献するものと期待されます。

関連研究領域 :成長と貧困削減

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問い合わせ先

JICA研究所 企画課
電話:03-3269-2357

開催情報

開催日時:2010年9月20日(月)~2010年9月21日(火)
開催場所:JICA研究所

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