JICA緒方研究所

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「アフリカにおける経済構造と開発援助の役割」をテーマにジョン・ペイジ氏語る

2012年10月15日

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       ジョン・ペイジ氏
研究所は、ブルッキングス研究所シニアフェローであり、元世界銀行アフリカ地域担当チーフエコノミストのジョン・ペイジ氏を招き、アフリカの構造変化を阻んでいる要因や政府開発援助(ODA)の役割について、「Aid, Structural Change and the Private Sector in Africa (アフリカにおける援助、構造の変化と民間セクター)」と題した公開セミナーを10月4日に開催しました。

 

開発途上国経済の特徴の一つとして、一般にセクター間の労働者一人当たりの生産性の格差が大きいことがあげられています。このような国々の経済発展への鍵は、生産性の低いセクターから高いセクターへと生産資源をシフトさせる、いわば構造変化(Structural Change)にあると言え、多くの場合産業化(industrialization)がこの変化をもたらすのに大きな役割を果たすと考えられてきました。

 

しかし、ペイジ氏は、「1980年代半ば以降、アフリカではむしろ製造業のGDPや雇用に占める割合が低下し、産業の高度化(sophistication)も起きず、結果として構造変化が起こらなかった」と指摘しています。

 

さらに同氏は、「アフリカでの構造変化を促すためには、民間投資が必要となってくるが、他の地域に比べアフリカでは国内の民間投資は非常に限られており、海外直接投資も天然資源に集中している現状がある。こういった状況で、投資環境の改善や高度産業の育成、輸出による成長戦略などの策定支援において、開発援助が果たせる役割は大きい」と述べました。しかし一方で同氏は、「1990年代以降の開発ドナーの関心は、Doing Business指標に代表されるような規制改革に集中してしまったと同時に、ミレニアム開発目標において民間投資を呼び込むためのインフラ整備や、産業の高度化に寄与するための高度教育への支援が目標として設定されず、結果として構造変化を促すのに必要な投資が十分に行われなかった」ことを指摘しました。

 

こういった現状を踏まえ、ペイジ氏は次の4つを新たな援助戦略として提案しています。
① 輸出促進のためのインフラ・制度整備による貿易ロジスティックス改善支援
② 生産性向上のための産業集積支援
③ 他地域からのグッド・プラクティスの移転のためのネットワーク構築やマネジメント研修などによる企業の能力強化支援
④ 地域経済共同体(Regional Economic Communities: RECs)のオーナーシップを尊重した形での開発援助の実施と調和による地域統合支援

 

最後にペイジ氏は、「アフリカへの開発援助は、上記の4つの新たな戦略を通じて、構造変化を加速させる触媒的な役割を担うことができる」と強調しました。

ムービー・コメンタリー

John Page
Senior Fellow, Global Economy and Development, The Brookings Institute

日時2012年10月 4日(木)
場所JICA研究所、東京
関連ファイル

AID, STRUCTURAL CHANGE, AND THE PRIVATE SECTOR IN AFRICA(PDF)

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