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GDN国際開発賞受賞者を招いての公開研究会を開催

2013.04.01



3月9日、JICA市ヶ谷にて、インドのNGO「Goonj(グーンジ)」(※1)代表であるアンシュ・グプタ氏を迎えて、貧困削減のありかた、真のエンパワーメントとは何かを考える公開研究会をGDN-Japan主催で(※2)開催し、国内の有識者や研究者などが参加しました。

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アンシュ・グプタ氏

登壇したグプタ氏は、自身が代表を務めるNGOの活動の紹介を交えながら、「気が付かれていない問題」(ノンイシュー)を解決することの重要性についての発表を行いました。その中で、ニューデリーの新空港と鉄道の駅を対比した場合のトイレや給水施設の著しいレベルの差、厳しい気象環境下における不適切な衣服事情、タブー視されている感もある女性の生理用品における不衛生な使用状況や施設の整備不全など、インドの現状を例に挙げ、急速に発展している国が抱える問題を紹介しました。

それを踏まえて、ノンイシューへの対処は貧困層に対する慈善(チャリティー)ではなく、通貨や資源を活用する選択肢を広げる考え方「パラレル・エコノミー」を広く浸透させることが重要であることを強調しました。グーンジではこの考え方のもと、貧困層の生活改善プロジェクトを実施し、それに参加した人々に対価として衣服を配布する”Cloth for Work”(※3) という活動を行っています。道路や橋の建設や水路のメンテナンスなど、どのようなプロジェクトを行うかについては地域の住民が主体的に決定し、その建設作業をした住民に衣服や家庭用品など“モノ”で報酬を支払いますが、“モノ”は都市で廃棄されたものを活用します。また維持管理は住民が行うなど、事業コストにほとんど現金は使わない仕組みになっています。

発表後には、参加者との意見交換も活発に行われ、「活動のオペレーションは都市部と農村部で分けられているのか?」「生理用品は販売しているというが、そもそも農村貧困層に支払い能力はあるのか?」など具体的な質疑に対して、グプタ氏はインドでの事例を用いながら、支援の地域差を埋める重要性や貧困層に対してでも生理用品などを有償で配付する必要性を強調しました。

※1 グーンジは、2004 年にインドの首都ニューデリーで創設されたNGOで、主に廃棄される衣服を再活用して貧しい人々の生活改善に役立てる活動を行っています。

※2  GDN-Japanは、GDNの地域ネットワークの1つであり、JICA研究所が日本のネットワークのハブ機関になっています。

※3 この活動の汎用性や革新性、有効性が高く評価され、2012年6月にハンガリーのブタペストで開催された第13回Global Development Network年次会合において、開発分野における研究や刷新的な開発プログラムを発掘・助成する目的で設けられた国際開発賞(Global Development Award)で最優秀賞を獲得しました。

開催情報

開催日時:2013年3月9日(土)
開催場所:JICA市ヶ谷ビル

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