JICA緒方研究所

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JICA-RI研究者が、ブルッキングス研究所での書籍発行記念セミナーに出席

2013年7月9日

JICA研究所は、「スケールアップ」に関する研究をブルッキングス研究所と共同で2011年より実施してきました。その研究成果をまとめた書籍『Getting to Scale: How to Bring Development Solution to Millions of Poor People』が、4月にブルッキングス研究所出版社から発刊されたことを記念して、6月28日にワシントンDCのブルッキングス研究所本部において、書籍刊行記念セミナーが開催されました。

 

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     細野アドバイザー
本イベントでは、執筆者の一人で、共編者も務めたJICA研究所の細野昭雄シニア・リサーチ・アドバイザーが、同じく共編者のHomi Kharasブルッキングス研究所上席研究員を含めた4名によるパネルディスカッションにパネリストとして参加しました。

 

まずKharas氏は、スケールアップの重要性にも関わらず、その成功例はいまだ非常に限られており、専門領域の異なる関係者が協働しながらその実現へ向けて意識的に取り組んでいくことが不可欠であると問題提起をしました。

 

細野アドバイザーは、2008年の新JICA誕生が契機となって、事業成果のスケールアップに向けた取り組みが一層促進されてきたと述べ、その具体的な施策として、スケールアップ(Scale-up)、スプレッドアウト(Spread-out)、スピードアップ(Speed-up)を目指す、有償・無償資金協力と技術協力の3スキームの組み合わせなどによる効果的な運用を挙げました。また、スケールアップの好例として、ニジェール「みんなの学校」プロジェクト、およびJICAが国際的に先導してきた三角協力による南南協力のスケールアップの取り組みの分析を、それぞれ書籍の中で紹介していることにも触れました。

 

続いて、今後注目に値するスケールアップ手法の、本共同研究が着目した官民協働型モデル(ハイブリッドモデル) について、一般参加者との意見交換が行われました。細野アドバイザーは、日本のハイブリッドモデル型の取り組みとして、JICAが民間連携事業部を設置し、「民間部門」による途上国開発支援を側面からサポートしてきたことに言及しました。また、ハイブリッドモデル型の具体例として、アフリカを中心とするマラリア汚染国での蚊帳の生産と普及の取り組みを紹介しました。蚊帳のケースでは、技術開発を行った日本の民間企業、生産のスケールアップのための援助を行った国際協力銀行(JBIC)、現地の生産を担ったタンザニア現地民間企業、世界保健機関(WHO)や国連児童基金(UNICEF)などの国際機関、エクソン・モービル社などの海外民間企業が、戦略的に連携することで、使用効果の高い蚊帳の、迅速で広範な普及が実現された経緯を説明しました。

 

セミナー終盤では、今後のスケールアップ促進の展望が議論され、細野アドバイザーは、JICA研究所が、本書籍発刊の機会を捉え、スケールアップについてのJICA内の学習推進を目的とした、グッド・プラクティス連続セミナーを立ち上げたことを紹介しました。

 

国際開発における世界的中心地の一つであるワシントンDCでは現在、公的援助機関、慈善財団、国際NGOなどの民間支援組織の活動に対して、事業をより大きなインパクトへつなげていくことが一層求められてきており、開発成果のスケールアップが大きな話題となっています。今回のセミナー開催は、その意味で非常に時宜を得たものとなりました。

 

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日時2013年6月28日(金)
場所米国、ワシントンDC



開催情報

開催日時2013年6月28日(金)
開催場所米国、ワシントンDC

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