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『世界開発報告2011』のためのワークショップを世界銀行と共催

2010.04.14

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JICA研究所は4月2日、世界銀行のサラ・クリフ世界開発報告(World Development Report:WDR)担当局長をはじめとする関係者らとともに、ワークショップを開催しました。WDR2011のテーマである紛争・セキュリティー・開発の分野に焦点を当て、関連する課題を明らかにする目的で開かれたもので、この中でクリフ氏は「セキュリティーと開発の相互関係は学術的・政策的には比較的新しい分野ですが、われわれが取り組み続けるチャレンジのひとつ」と述べました。同ワークショップの成果は、現在作成中のWDR2011に反映される予定です。

本会合は、JICA・世界銀行の共催、外務省の後援で行われたものです。第一部は国境を越えた脅威と地域のイニシアチブに焦点が当てられました。スリン・ピッツワンASEAN事務総長らパネリストたちは、ASEANのような地域機関は暴力を伴うものと伴わないものとを問わず国境を越えた脅威に対抗し得ることに役割があること、また、昨今の世界情勢の中で地域統合がどう進展してきたかなどを議論しました。特に脆弱な国々における脅威を抑え地域の安全性を強化するために、政府や地域機関、そして国際社会が担うべき役割などについて論議されました。

第二部は国の能力開発、安定性、政治的リーダーシップ、国際基準・規範と地域基準・規範の違いなどについて論議されました。恒川惠市JICA研究所所長は、分析の概念的枠組みについて発表を行いました。東アジアの国々が脆弱性を軽減してきた経験に関して「もうひとつの東アジアの奇跡」として触れながら、現在の同地域における相対的な安定に結果的に結び付いた社会政治的特徴として、反政府勢力に対する寛容性、経済競争のあり方、世俗的な国家アイデンティティーなどを挙げました。また、政治・経済改革の進め方についても留意すべとしました。これに関しクリフ氏は、その実行時期と順序が重要であると述べました。

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恒川JICA研究所所長

クリフ氏は「本会合での発表やコメントは大いに(世界銀行の)参考となるもの」と述べるとともに、浮かび上がった課題の中でWDR作成チームが特に関心を持つものとして、援助を通じた相互利益や、地域に根ざした制度基準の選択、それに経済危機を脱しつつある開発途上国間の相互依存関係などを挙げました。

本会合の議論を踏まえ、JICAと世界銀行は4月5日にジャカルタでもASEANとともに会合を共催し、WDRへの更なる貢献とするべく、幅広いコミュニティーからの意見を聴取しました。WDR編集チームは、9月にも北京で会合を開く予定で、2011年初頭の発表を計画しています。またJICA研究所では、最近発表したワーキングペーパーを通じて、WDRに情報提供を行っています。

関連研究領域:平和と開発

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4月2日に行われたWDR2011がテーマのワークショップ

開催情報

開催日時:2010年4月2日(金)
開催場所:JICA研究所

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