カンボジアで進行する経済のドル化の背景とは。ドル化の歴史的な要因と自国通貨促進の施策をセミナーで議論
2014.06.09
JICA研究所が新たに開始した研究プロジェクト「カンボジアにおける自国通貨利用促進に関する実証研究」を記念して、研究所とカンボジア中央銀行との合同公開セミナーが、6月2日JICA市ヶ谷で開催されました。
Khou氏
「カンボジアにおける自国通貨利用促進に関する実証研究」は、カンボジアで進展する経済のドル化の背景を明らかにし、自国通貨流通促進に向けた有効な施策を検討する目的で行われています。今回、共同研究者であるカンボジア中央銀行からの研究者を招き、同国でなぜ米ドルが広く使用され保有されるのか、またマクロ経済の安定を維持しつつ自国通貨のリエルを普及するためにはどのような施策をとるべきかついて、議論が行われました。
公開セミナーでは、カンボジア中央銀行のKhou Vouthy 研究・国際協力部門長が、「Cambodia’s Monetary Policy: Dollarization, Managing National Currency Supply and Exchange Rate Stability」のテーマで発表を行いました。
Khou氏は、まず同国の経済状況を示す指標として、年平均8%の経済成長率、一人当たりの国内総生産の継続的な上昇、低位安定するインフレ率と安定的に推移する為替レートを示しました。比較的安定したマクロ経済環境下で成長を続けるカンボジアにおいて、ドル化が進行していった歴史的な背景について、次のように説明しました。1970代初期からの内戦が続き、特に1975年から1980年までのクメール・ルージュ政権時代には、貨幣と銀行制度が一切廃止されました。内戦が終結した1980年以降に自国通貨のリエルが再導入されたものの、国民の自国通貨への不信により浸透しませんでした。さらに1991年から1992年にかけて、海外、特に国連の活動により多額な米ドルが持ち込まれたことで、同国のあらゆる経済活動にドルが使用されるようになりました。Khou氏はさらに、2010年に自身が実施した「カンボジアの流通通貨」に関する調査を紹介しました。極端なドル化が起こっているのは、首都プノンペンや、都市部、また観光地であり、セクター別には、工業、観光、NGOなどの分野を挙げ、一方、農村、公共部門、建設分野ではリエルによる経済活動がかなり普及していることを説明しました。
また、Khou氏は、脱ドル化を推進するにあたっては、慎重に段階を追いながら進めること、かつ、市場メカニズムに沿った政策が重要であると述べました。また、ドル化の利点として、マクロ経済の安定化、通貨切り下げリスクの低下などを挙げ、一方潜在的なリスクとしては、効果的な金融政策が実施できないことや、(ドル高の進行による)輸出失速などを指摘しました。従って脱ドル化については、100%是か非という問題ではなく、バランスのとれた政策を進めていくことが重要であることを強調しました。最後にKhou氏は、JICA研究所との共同研究は、カンボジア政府と中央銀行関係者がドル化の要因に対する理解を深め、自国通貨の普及を促進する施策を実施する上で有益であると述べました。
奥田教授
その後、Khou氏の発表に対するコメントとして、共同プロジェクトのメンバーである一橋大学の奥田英信教授が、為替レートの安定、段階を追った脱ドル化への移行、国民の自国通貨への信頼回復などの重要性を指摘しました。
Khou Vouthy氏
カンボジア中央銀行 研究・国際協力部門長
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
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