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障がいに関するデータ・統計のモニタリングと評価: ポスト2015に向けた国連の専門家会合にJICA研究所研究員が出席

2014年8月12日

ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)の達成期限が間近に迫る中、国際社会では2015年以降を見据えたポスト2015開発目標(ポストMDGs)の議論が活発に行われています。

 

目標の最終化に向けた作業が進む中、7月8日から10日までパリのUNESCO本部において「障がいに関するデータ・統計のモニタリングと評価:ポスト2015に向けた障がいを含む包摂的な開発に向けて」のテーマで、UNESCOと国連経済社会局(UNDESA)が主催する専門家会合が開催されました。この会合は、障がいに関する統計の現状と課題を分析し、その強化への提言をとりまとめることに加え、2015年以降の開発目標として検討されているSDGs(Sustainable Development Goals)の目標や指標案を、障がいも含む包摂的なものとするための具体的な提案を検討するために開催されました。

 

本会合には、25名を超える「障がい」の研究、情報に携わる専門家が集まり、JICA研究所からは「ポスト2015における開発戦略に関する実証研究」に参加しているカマル・ラミチャネ研究員が参加しました。

 

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ラミチャネ研究員の発表の様子

ラミチャネ研究員は、本会合に先駆けて提出したコンセプトノートの中で、障がいを包括した開発目標を達成する上で、障がいに関するデータ・統計の収集、管理、測定を行う制度構築が重要であることを指摘しました。世界で障がいのある人口の約80%を途上国が占めているのにもかかわらず、彼らの生活向上を目指す必要条件についての研究は極めて限定的です。また、障がいのある人はその人的資源開発や基本的なサービスへのアクセス向上を目指す取り組みが不十分な結果、貧困の連鎖に陥りやすい状況に置かれています。こういった現状を踏まえ、包摂的な社会参加を実現するためには、社会認識を変えることに加え、多角的な政策や施策を通じた投資の実現が必要であると述べています。

 

また、ラミチャネ研究員は、信頼できるデータや実証的研究不足が、政府や国際機関による障がいへの取り組みの優先順位が低い要因となっていることを指摘し、障がいに関するデータの収集、管理、測定の再検討および拡充が必要であるとしています。国連の障害者の権利に関する条約(CRPD)でも、データや統計および国際協力の重要性を明記していることから、研究機関や研究者は、専門分野や地理的な境界を越えた革新的な共同研究を推進していくべきであると提言しています。

 

専門家会合では、SDGsのすべての指標について、障がいの状況に応じたデータを含める必要性が指摘されました。今回の専門家会合の成果である提言やコンセンサスは、2014年9月に開催される国連総会に提出され、SDGsの最終化に向けた議論に貢献することが期待されています。

 

本会合の後、ラミチャネ研究員は、7月25-27日にオーストラリア、メルボルンのビクトリア大学で開催された学会「教育における障がい学研究: Disability Studies in Education: DSE」で発表を行いました。115を超えるペーパーが提出され、インクルーシブ教育への課題など様々なテーマでの発表がありました。

ラミチャネ研究員は「一般学級で、視覚障がいのある生徒を教える教師に焦点を当てた教育方法」のテーマで、ネパールの事例を取り上げ、一般学校の教師が同じクラスで視覚障がいのある生徒と障がいのない生徒を教える場合の教育に関する実証的研究の一例を紹介しました。発表の中で、視覚障がいのある生徒のニーズを充足するには、教員研修に障がいに関する内容を含む教材の重要性を指摘しました。

 

日時2014年7月 8日(火) ~ 2014年7月10日(木)
場所パリ、UNESCO本部



開催情報

開催日時2014年7月 8日(火)~2014年7月10日(木)
開催場所パリ、UNESCO本部

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