JICA緒方研究所

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子どもの栄養不良の改善に向けた効果的なアプローチとは:JICA研究員が国際学会で発表

2014年8月13日

世界で5歳未満の子どもの死にいたる原因の45%は、栄養不良と関連があるといわれており(WHO 2013)、その多くはサブサハラアフリカを中心とした開発途上国に見られます。子どもの栄養不良は直接的な死亡や疾病への罹患リスクを高めるだけではなく、将来にわたり不可逆的な影響を及ぼし、学習効率や労働生産性の低下をも引き起こすことから、貧困からの脱却を困難にする要因となると言われています。このため、子どもの栄養改善は、ミレニアム開発目標(MDGs)にも取り上げられている重要な課題です。

 

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白鳥研究員の発表の様子
JICA研究所の白鳥佐紀子研究員は、子どもの栄養状態に影響を及ぼす決定要因について、応用経済学の手法を用いて分析・推定する研究を行っています。7月27日から29日までの3日間、ミネソタ州、ミネアポリスで開催された農業・応用経済学大会(Agricultural and Applied Economics Association:AAEA)年次会合にて、その研究成果を発表しました。

 

米国で毎年開催されるAAEA年次会合は、応用経済分野で最も注目される学会の一つです。今回の会合には世界から約1700名が参加し、食糧、農業、環境、天然資源、健康、地域経済および国際開発など多岐に渡る分野の研究事例が取り上げられました。

 

白鳥研究員は、7月29日のセッションにおいて「タンザニアにおける子どもの栄養不良の決定要因:分位点回帰アプローチ」のテーマで論文を発表しました。本論文では2010年のタンザニア人口保健調査(DHS)データから5歳未満の子ども8,023人のデータを用いて、栄養状態に影響を及ぼす社会経済的な決定要因を推定し、その要因を踏まえて、栄養改善に有効な政策的介入に関する示唆を示しました。長期的な栄養状態を示す指標として、年齢に対する身長値(height-for-age z-score:HAZ)と、貧血の指標であるヘモグロビンの値に注目し、これらの変数を説明する要因として、年齢、性別、出生順位、兄弟との年齢差、母親の体格やヘモグロビン値、両親の学歴、医療アクセス、安全な飲料水へのアクセスなど、幅広い項目の分析を行いました。分析の結果、子どもの成長を阻害する要因としては、母親の(初等教育より高い)教育が有意に影響し、特に慢性的な栄養不足に陥っている子どもにはその影響が大きいことが判明しました。また、母親の栄養状態が子どもの栄養状態に与える影響も大きく、栄養不良は、世代を超えて母から子どもへと受け継がれていることが示唆されました。

 

こういった結果を踏まえて、白鳥研究員は、子どもの栄養・健康状態の改善には、母親の教育機会の向上などの介入を適切に組み合わせて行っていくことの重要性を指摘しました。

 

日時2014年7月27日(日) ~ 2014年7月29日(火)
場所米国、ミネアポリス



開催情報

開催日時2014年7月27日(日)~2014年7月29日(火)
開催場所米国、ミネアポリス

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