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効果的なガバナンス支援に向けて:JICA研究所加藤所長が韓国で開催された国際会議で講演

2014.09.05

9月2日韓国ソウルにて、韓国外務省およびKOICA(Korean International Cooperation Agency )が主催する第8回ソウルODA 国際会議が開催されました。「グッドガバナンスと組織制度(Good governance and effective institutions )」をテーマとして開催された同会議の開会プログラムにおいて、JICA研究所の加藤宏所長が基調講演を行いました。

加藤所長は基調講演の中で、(1)ガバナンスと組織制度に関する定義とアプローチの多様性とその明確化の必要性、(2)経済成長における「政府」の役割をめぐる関心の高まり、(3)政策形成のみならず、その「実施」する主体としてのガバナンスの重要性、(4)相手国の社会・文化に即した長期的、包括的な支援の重要性を指摘しました。

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加藤所長の基調講演の様子

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加藤所長と参加者の方々

すなわち、ガバナンスのあり方については、経済、政治、行政の各側面において様々な考え方、アプローチが主張されているが、建設的な議論を行っていくためには、イデオロギーをめぐる議論ではなく、明確な根拠に基づく議論を行っていくことが必要であることを指摘しました。さらに、近年ワシントンコンセンサスへの批判とともに、経済成長において政府が果たす一定の役割について関心が高まっているが、新興国やアフリカ諸国が経済成長を遂げていく中で、この議論の重要性は益々高まっていくとの考えを示しました。また、グッドガバナンスは良い政策の形成以上にその実施に注目することが重要であるとし、その支援の一例としてJICA が西アフリカニジェールで実施している「みんなの学校」を紹介しました。「みんなの学校」では、各学校に教師や親、コミュニティの関係者からなる学校運営委員会を設立し、学校現場の改善を行っており、今や全国すべての学校において委員会が設立され、ニジェールの教育の改善に大きく貢献しています。この取組はいわば教育現場のガバナンス強化と言えます。加藤所長は最後に、日本が過去20年にわたり支援を行ってきたベトナムの法整備支援を紹介しました。裁判制度、司法試験制度、法律の制定、人材の育成に至るまで、包括的かつ長期的に支援したこの取組は、ベトナムの司法制度の確立に大きな功績を残しました。この経験からの教訓として、グッドガバナンスを実現するには、その国の文脈に沿った形で、長期的に、かつ段階的に、そして包括的に支援を行う必要があることを指摘しました。

開会プログラムの後、「ガバナンスと制度組織をめぐる議論」および「成功と失敗:ドナーとパートナーの事例から」と題したセッションが行われ、英国のシンクタンクであるODI(Overseas Development Institute )や、米国国際開発庁(USAID )、KOICA の関係者、途上国側からはボリビアやルワンダなどの関係者が登壇し、様々な事例の紹介や意見交換が行われました。

開催情報

開催日時:2014年9月2日(火)
開催場所:韓国、ソウル

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