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バングラデシュの経済成長と課題: JICA研究員がダッカで開催された農業経済学会で発表

2014.11.05

2014年10月14日から17日にかけて、第8回アジア農業経済学会がバングラデシュ・ダッカにて開催されました。同学会は、アジアを中心に農業経済・農業経営に関わる学術情報の交換を目的としています。

JICA研究所は研究プロジェクト「バングラデシュにおけるリスクと貧困に関する実証研究」を実施しており、研究成果の一部を書籍「Bangladesh Miracle and Challenges: Its Economic and Social Development」としてとりまとめる予定です。JICA研究所は本学会に参加し、書籍に収録予定の研究成果をはじめとした本研究プロジェクトの内容について、二つのセッションを設けて発表しました。

一つ目のセッションでは、書籍の背景や目的について紹介するとともに、バングラデシュの経済・社会の目覚ましい成長の要因と課題について、研究成果を発表しました。バングラデシュでは、縫製産業や製薬産業の興隆などに牽引された経済の構造変化やNGOの活動が、経済成長や貧困削減、社会保障の改善に大きく貢献しています。また、バングラデシュの国内企業が、縫製・製薬産業における生産技術水準の問題や、多国籍企業による市場独占の問題を解消し、マーケットを獲得していったプロセスについて解説しました。構造変化の一側面である都市化に伴うリスク(交通事故や環境汚染)については、実験経済学を活用した人々のリスク認識の分析の結果、人々がとりわけ交通事故のリスクを重要視していることを紹介しました。最後に、同国のNGO若手職員や大学生を対象とした調査結果をもとに、構造変化の中で、労働市場における職業としてのNGOの魅力が低下していることを示し、NGOセクターの活性化には、福利厚生・業務配分の改善が必要であると提言しました。

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学会の様子

2つ目のセッションでは、バングラデシュにおけるマイクロファイナンスの構造と、これが経済・社会変革に与えた影響について、3つの研究成果を発表しました。第一に、マイクロファイナンスに対する補助金がその普及に対してどのような影響を与えているかについて、構造推計を用いた分析を紹介しました。第二に、複数のMFI(Microfinance Institution)からの借り入れについての研究を発表しました。インドと同様に、バングラデシュでも複数MFIからの借入が増加傾向にあることが示されると共に、MFI間での情報共有に関する推計により、バングラデシュでも情報共有がある程度進んでいる可能性を指摘しました。最後に、マイクロファイナンスが女性の社会的地位向上に与えている影響についての研究結果が発表されました。1998年から2008年の家計調査のパネルデータを分析した結果、近年女性の教育機会の向上、出生率の低下等といった地位向上の傾向がみられ、マイクロファイナンスが、これに寄与している可能性が明らかになりました。

開催情報

開催日時:2014年10月14日(火)~2014年10月17日(金)
開催場所:バングラデシュ、ダッカ

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