2014年12月25日
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『国際問題』2014年12月号は、「ODAの60年を振り返る」をテーマとし、ODA60年の歩みを振り返り、その意義と成果を確認し、今後限られたリソースを、何のために、どのように使うべきかを考察する特集を組んでいます。その中で、JICA研究所の岡部恭宜主任研究院が、研究プロジェクト「青年海外協力隊の学際的研究」を元に執筆した論文「青年海外協力隊の50年」を寄稿しています。
本稿は、来年に事業開始50周年を迎える青年海外協力隊事業の創設の経緯とその後の発展について、政治学の視点から分析しています。それによれば、1965年の創設には、冷戦下の対米関係や農村・都市部の青年問題が背景にあり、さらに青年団体の指導者や自民党の若手代議士からの強い働きかけと、それに対する外務省の反応が作用していました。また、協力隊事業が多様な目的を持ちながら発展してきた要因として、外務省と自民党・青年団体との間の妥協があったこと、この妥協の結果、協力隊が、JICAの技術協力や外交戦略の枠内での組織的支援、及び地方自治体や隊員OB会からの支援を受けることが出来たことが論じられています。