JICA緒方研究所

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母と子の命を守るEMBRACEモデル:ガーナ母子保健の実証研究をテーマとしたワークショップを開催

2015年2月5日

途上国では、妊産婦と新生児の死亡率がいぜんとして高く、その早急な改善が必要です。日本政府は、2010年9月に行われたミレニアム開発目標(MDGs)国連首脳会談において新国際保健政策を発表し、産前から産後までの切れ目のない手当てを確保することで母子の命を守ることに焦点をあてた支援モデル(Ensure Mothers and Babies Regular Access to Care: EMBRACEモデル)を提唱しています。

 

JICAは、東京大学、ガーナ国保健省(ガーナヘルスサービス:GHS)と共同で、このEMBRACEモデルの検証を目的とした研究プロジェクト「ガーナEMBRACE実施研究」を実施しています。2015年1月26日、本研究プロジェクトのワークショップがJICA研究所で開催され、GHSの関係者と日本側の関係者が参加し、これまでのプロジェクト活動や研究成果、ガーナ保健政策への適応可能性などについて議論を行いました。

 

はじめに、名西恵子東京大学大学院医学系研究科助教が日本の母子保健政策を紹介し、続いて、ジョイセフ(JOICFP)の西田良子氏が、ガーナで実施中のプロジェクト活動を報告しました。プロジェクトでは、母子が継続的に医療サービスを受けられるように母子の健康を記録した「継続ケアカード」を配布し、これを活用するためのオリエンテーションを実施しているほか、出産後の産後ケアを提供するなどしています。これら活動を行う中では、継続ケアカードの適切な在庫確保や、妊産婦用の宿泊施設の確保、病院と保健関係者の連絡調整の改善などが課題となっていることが指摘されました。

 

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      クアンサー・アサレ博士(左)、

      アンサー博士(右)

次に、菊地君与東京大学大学院医学系研究科特任助教とエブリン・アンサーGHS研究開発課長補佐が、研究プロジェクトの進捗と成果を発表しました。発表では、これまでの調査の結果明らかになった母子の継続ケアを普及する上での制約として、両親の知識不足、家族によるサポートの不足、ケアサービス施設への不十分なアクセスなどが確認されたことが報告されました。また、プロジェクトの介入によるインパクトを定量的に把握するための評価計画とその進捗についても報告されました。これらの研究成果は今後、学術的な論文にまとめられ、発表される予定です。

 

最後に、グロリア・クアンサー・アサレGHS副総裁が、研究成果のガーナ保健政策への反映をテーマとして発表を行い、参加者による意見交換が行われました。EMBRACEモデルは、母子保健の指標改善を目標とし、妊婦健診の充実や、新生児ケアを重視するGHSの母子保健政策と合致しているが、研究プロジェクトを通じて、継続ケアの更なる向上と実際の浸透を図っていくための具体的な方策が示されることへの期待が述べられました。意見交換の中では、現地で活動する開発援助機関と共働しながら、継続ケアの概念をより多くの関係者と共有し、ヘルスワーカーや母親に対する啓発活動などを充実させその重要性を広めるとともに、施設整備を進めることが重要だという意見があがりました。

 

日時2015年1月26日(月)
場所JICA 市ヶ谷ビル



開催情報

開催日時2015年1月26日(月)
開催場所JICA 市ヶ谷ビル

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