2015年2月9日
2015年2月4日、JICAと世界銀行の共催セミナー「世界開発報告(WDR)2015:心・社会・行動」が開催されました。
![]() |
ガウリ氏 |
セミナーの冒頭挨拶を行った小寺清JICA理事は、世界銀行のフラッグシップレポートであるWDRの意義や、これまでに開発潮流に与えた影響について概観しました。続いてガウリ氏が基調講演を行い、報告書の概要を説明しました。ガウリ氏は、人は自己利益を最大化するように合理的に判断を下すと考えられているが、実際には、置かれた環境がもたらす自動的な思考反応や、社会規範や固定観念の影響を受けて判断・行動を行っていることを指摘しました。また、貧困は人びとに生存をかけた多くの判断を迫るものであり、貧困削減を目的とした開発政策の策定や介入を行う上では、人の「心・社会・行動」への考慮が、その成果を大きく左右すると説明しました。例えば、ケニアにおいて、HIV/AIDS治療薬の服用を促す携帯電話メッセージは、毎日よりも1週間に一度の頻度の方が高い効果を示したケースや、安全な飲料水を確保するための塩素消毒は、各家庭にディスペンサーを提供する方が、他の手段に比べて格段に効果的であることなど、実証研究の結果から得られた具体的な例に触れました。
![]() |
(左から)ガウリ氏、澤田教授、川上教授、畝所長 |
最後に行われた質疑応答では、途上国の汚職問題解決への適応や、メンタルヘルスを人的資本と捉えることの重要性などについて活発な議論が交わされました。また、より効果的な開発政策を立案するためには、既存研究の知見を十分に活用するとともに、社会規範や様々なバイアスなどの詳細な分析が必要であることが指摘されました。
本セミナーで各登壇者が発表した資料は、世界銀行東京事務所のウェブサイトからダウンロードすることができます。
また、WDRの全文は、世界銀行のサイトからダウンロードすることができます。
【インタビュー動画】
ヴァルン・ガウリ氏(世界銀行グループ 世界開発報告執筆担当共同局長) / 「WDR2015: 心理的・社会的要因を踏まえた新たな開発アプローチ」
日時 | 2015年2月 4日(水) |
---|---|
場所 | JICA市ヶ谷ビル |
開催情報
開催日時 | 2015年2月 4日(水) |
---|---|
開催場所 | JICA市ヶ谷ビル |