JICA緒方研究所

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教育の質の改善に向けた参加型学校運営の有効性を再確認:ブルキナファソで教育省とセミナーを共催

2015年3月11日

2015年2月10日、ブルキナファソ教育省とJICAは、「参加型学校運営を通じた教育の質改善に関する研究結果の共有と活用セミナー」を開催しました

 

JICA研究所では、ブルキナファソの教育分野において、2つの研究を実施しています。1つは、実証データと計量経済学の手法を用いてプロジェクトの効果を分析する「インパクト評価分析」の手法開発をめざす研究プロジェクトで、この中では、JICAがブルキナファソで支援する参加型学校運営を推進する「みんなの学校プロジェクト」のインパクトについて厳密な分析を行っています。もう1つは、世界銀行が進める教育政策・システムを比較するツールやデーターベースの構築を含む包括的なプログラムSABER(System Approach for Better Education Results)を活用し、参加型学校運営の有効性の検証と、教育政策と現場のギャップを把握し、教育成果向上への施策を検討するための研究です。

 

本セミナーは、JICA研究所が実施しているこれら二つの研究成果を、広く現地の関係者と共有し、教育の質の改善を具体化するための教育政策について議論することを目的として開催されました。セミナーには、ブルキナファソの教育省、JICAの専門家、UNICEFなどの国際機関、NGO、大学関係者などおよそ60名の実務家、研究者が参加しました

 

セミナーでは、冒頭森下拓道JICAブルキナファソ事務所長とブルキナファソ教育省のIbrahim Sanon教育・研修改革研究総局長が挨拶し、これまでブルキナファソで行われてきた「みんなの学校」プロジェクトの経緯や背景などを説明しました。

 

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     (右から)結城研究代表と澤田教授

続いて、研究結果の発表が行われました。まず、澤田康幸東京大学教授(JICA研究所客員研究員)が、「みんなの学校」のインパクトに関する厳密な計量分析の結果を発表しました。発表では、プロジェクトにおいて学校運営委員会を設置する学校を無作為に設定し、RCT(Randomized Controlled Trial)の手法を用いてプロジェクトの多面的な効果を定量的に分析した結果、生徒の留年率や教員の出勤率といった教育面での成果や、コミュニティにおける社会関係資本の強化、マイクロファイナンスへの参加の促進といった望ましい効果が実証されたことが紹介されました。出席者からは、調査対象を国内の他地域や周辺諸国に拡大し、分析結果の頑健性を高める必要性や、プロジェクトの成果と実施コストを定量的に比較する費用便益分析を行うことの重要性が指摘されました。

 

次に、SABERの開発研究の結城貴子研究代表が、SABERを用いて行ったブルキナファソの学校運営に関する政策の評価結果について発表しました。「みんなの学校」モデルの試行に基づき、ブルキナファソ政府が行った学校運営委員会を全国へ普及するという政策決定は、学習の質の改善に向けて高く評価できることが報告されました。一方で、政策の実践や学校運営委員会の機能の面では国内に差があり、この差が卒業試験合格率などにも表れていることから、政策の現場での実践については、さらに改善の余地があることを指摘しました。最後に、教育省Fatimata Konfe氏とワガ大学研究機関のDamien Lankonde教授が、2014年に開始した「みんなの学校」プロジェクトフェーズ2のベースライン調査結果について発表し、学校運営委員会の機能を向上させるには、地方自治体との連携強化などに取り組む必要があることを示しました。

 

これらの研究結果からは、学校運営委員会の設立とその機能の充実が図られることによって、教育の質が向上することが確認されました。一方、いっそうの教育の質の改善のためには、卒業試験などの学力評価結果を学校運営委員会の活動に反映させることや、地方や県など自治体レベルで学校運営委員会連絡協議会を普及するなどの取り組みが必要であることが示されました。参加者は、学校運営委員をより効果的に持続的に全国に普及していくために必要な政策や取り組みについて、活発な意見を交わし、具体的なアクションの策定に向けて、継続して議論を深めていくことで合意しました。

 

また、「JICAにおける体系的インパクト分析の手法開発研究」では、「みんなの学校」プロジェクトのインパクト分析研究について、計量分析の手法やデータの特徴など、よりテクニカルな内容を含んだ議論を行うセッションも開催しました。大学教員など現地の研究者が出席して行われたこのセッションでは、澤田教授のほか、早稲田大学の戸堂康之教授(JICA研究所客員研究員)および野口晴子教授が発表を行いました。

 

本セミナーの結果は、現地の主要な新聞などでも報道されています(フランス語)。

- 2015.2.11付Lefaso紙記事へのリンク

 

日時2015年2月10日(火)
場所ブルキナファソ



開催情報

開催日時2015年2月10日(火)
開催場所ブルキナファソ

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