JICA緒方研究所

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中小企業の国際市場参入をどう促進するか? APEC会合で日本の経験を共有

2015年5月20日

ベトナムが主催し、アジア太平洋経済協力(APEC)が協力し、中小企業の国際市場参入の促進に関する会合「Public-Private Dialogue on Facilitating SMEs Goods and Services Providers and Exporters to Better Integrate into Regional and International Market-中小企業の国際市場参入促進に関する官民対話」が、2015年4月21日~22日、ベトナム中部の都市、ダナンで開催されました。JICA研究所の細野昭雄シニア・リサーチ・アドバイザー(SRA)が会合に参加し、タイの自動車産業やブラジルの農業開発、チリのサケ産業など、日本の協力と当事国の取り組みを共有しました。

細野昭雄
細野昭雄JICA研究所
シニア・リサーチ・アドバイザー(右)

この会合には、ベトナム国内の中小企業はじめ、APECの10ヵ国(オーストラリア、インドネシア、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、フィリピン、ロシア、タイおよびベトナム)とイギリスから、政府、民間セクター、その他の研究機関などの関係者数十名が参加しました。

 

細野SRAは、経済成長や産業転換が、中小企業の国際市場参入促進において果たす役割について発表しました。その中で、これまでの優れた事例として、(1)国内の自動車生産を2005年の100万台から2012年の250万台まで増加させたタイ政府の産業支援、(2)ブラジルのセラードの農業開発が中小企業による農業分野のバリュー・チェーン(価値連鎖)への参加において果たした役割、および(3)チリを世界トップのサケおよびサケ製品の輸出国に成長させたサケ産業の産業クラスターとバリュー・チェーンについて説明しました。そして、今日、産業構造の変化に伴うサプライチェーン(供給連鎖)のグローバル化は必須であり、その中で、中小企業を国際市場に参入させるには包括的取り組みが必要であると述べ、その際には、様々な国際協力の経験や教訓を、それぞれの国々の状況にあわせて活用していくことが可能であるとまとめました。

 

An automobile parts factory in Mexico
メキシコの自動車部品工場
(写真提供:今村健志朗/JICA)

細野SRAによれば、中小企業がサプライ・チェーンに参入するための具体的方策に関心を持つ参加者が多く、この点でJICAの協力に関心が高かったということです。細野SRAは「JICAはこれまで特にアジアで、この分野について豊富な協力経験があり、その経験を共有することは、ベトナムなど各国にとっても非常に有益だ。また、JICAは現在、メキシコでアメリカへの輸出の拡大を目指す自動車産業における、中小企業を中心とするサポーティングインダストリー育成にむけた協力を行っており、メキシコでの取り組みも注目を集めた」と話しています。

 

細野SRAはまた、今回の会合がダナンで開催されたことについて、「ダナンは、大メコン圏を東西に結ぶ回廊の東の起点であり、東西回廊は(ラオス、タイを経て)ミャンマーまでの全線が今年中に開通する予定だ。今後の成長が期待される地域であり、このような場所で会合が開催されたことも有意義だ」と指摘しています。

 

APECは、アジア太平洋地域の21の国と地域が参加する経済協力の枠組みです。この会合は、中小企業の国際競争力強化を目指すAPECの取り組みの一環として、ベトナムが主催し、マレーシア、メキシコ、フィリピンおよびロシアが開催に協力しました。

日時2015年4月21日(火) ~ 2015年4月22日(水)
場所ベトナム ダナン



開催情報

開催日時2015年4月21日(火)~2015年4月22日(水)
開催場所ベトナム ダナン

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