JICA緒方研究所

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JICA研究所長が地雷・不発弾除去に関する日本と米国のセミナーに参加

2015年5月29日

JICA研究所の畝伊智朗所長は、2015年4月にJICA市ヶ谷と米国ニューヨークの国連本部で開催された地雷・不発弾対策での南南協力について議論するセミナーに出席し、「地雷・不発弾は紛争からの復興における人間の安全保障上の脅威」と指摘し、「地雷・不発弾の除去を進めていくうえで、(途上国同士が協力する)南南協力は効果的だ」と述べました。

 

セミナーは、4月21日にJICA市ヶ谷で開催された公開セミナー「地雷と不発弾分野の組織能力強化と南南協力 -カンボジアとラオスの域内協力-」(主催:JICA)と、4月23日にニューヨークの国連本部で開催された「地雷のない世界を目指して-地雷・不発弾対策に関する南南協力(Bridging towards the mine free world -South-south cooperation in mine/ UXO action)」(主催:JICA、国連地雷対策サービス(UNMAS))。JICAが協力するカンボジア地雷対策センター(CMAC)、ラオス国家不発弾プログラム(UXO Lao)も両セミナーに参加しました。

JICA研究所の畝伊智朗所長
畝伊智朗JICA研究所所長(中央)

国連によると、1997年に調印されたオタワ条約に基づき、これまで162ヵ国で地雷処理が行われました。しかしなお、1年間に15,000~20,000人が地雷被害で亡くなり、約78ヵ国でいまだに地雷が地中に埋まっています。

 

JICAの地雷・不発弾対策に関する協力は、1998年のCMACの機能強化を目的とした支援に始まり、これまで、情報システム技術や資源管理などの分野での専門家派遣、金属探知機や地雷原から植物や不発弾を取り除く重機の調達等で協力を実施してきました。

 

カンボジアのCMACはその後、地雷・不発弾対策の知識や経験を各国へ伝えてきました。2010~11年にはコロンビアへ、2012~14年にはラオスへ、そして2014年からはアンゴラへ協力を広げています。

 

畝所長は、セミナーで、地雷・不発弾対策を進める組織の能力強化のため「リーダーシップ」「オーナーシップ」「パートナーシップ」3つの柱を挙げ、CMACのような組織の重要性を指摘しました。そのうえで、「地雷・不発弾対策は、どの開発援助機関も、人道援助団体も、国連組織も、単独では解決することができない世界的な課題。そして、この対策を世界に広めていくうえで、南南協力が有効であり、経済的にも効果的なことが確認できた」と述べました。

 

セミナーを振り返って畝所長は「参加者は、地雷・不発弾対策では、南南協力が特に有効と繰り返し話していた。期待以上のものだった」と話し、その背景として「国際協力で途上国側は『先進国とは状況が違うから、先進国と同じようなことはできない』と考えがち。しかし、南南協力であれば、『カンボジアができるのであれば、我々もできる』という励みにつながる。またカンボジア側の共に学ぼうという姿勢が協力の成果につながっている」と指摘しました。




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