JICA緒方研究所

ニュース&コラム

ASEAN経済共同体内での熟練労働者の移動に関する会合に畝所長が出席

2015年6月10日

2015年末までのASEAN経済共同体の発足に向けた動きが進むなか、域内での熟練労働者の移動が課題となっています。JICA研究所の畝伊智朗 所長は、2015年5月11~12日、インドネシアのバリ島で開催された、この問題に関する専門家会合に出席し、過去20年間の各国の経済構造の変化やJICAの取り組みについて発言しました。

 

会合は、「ASEAN経済共同体における熟練技能者の移動に関するハイレベル専門家会合」で、アジア開発銀行(ADB)と、アメリカ・ワシントンの独立系シンクタンクMigration Policy Institute(MPI)が主催しました。

 

つばさ橋

ベトナム-タイを結ぶ回廊にあり、
2015年4月に完成した「つばさ橋」
(写真提供:久野真一/JICA)

ASEANに加盟する各国政府は2005年~2012年の間に、エンジニア、医師を含む6業種の労働者の移動を促進するための合意書に署名しました。しかし、各国内の法制度・規制の変更が進まず、実質的には労働者の移動は実現していません。国内・城内での技術的・政治的障害を確認し、解決策を検討するため、会議が開催されました。

 

会合で畝所長は、日本の新しい開発協力大綱について、「質の高い成長」とそれを通じた貧困削減、人間の安全保障を重視していることを説明。すべての人が恩恵を受けられる「包摂性」、「持続可能性」、様々なショックへの耐性と回復力を持つ「強靭性」の重要性を強調しました。

 

畝所長はまた、カンボジア、ラオス、ミャンマー、それにベトナムで過去20年間、GDPに占める製造業の割合が大きく伸びた一方で、農業の割合が大きく減少し、その結果、熟練労働者の需要が拡大していると説明しました。

そのうえで、JICAは、ソフト・ハードのインフラ投資やキャパシティビルディング(能力開発)を通じ、物理面、制度面、人材の交流面で、域内のコネクティビティ(接続性)を向上させる取組をしていると述べました。

 

JICA研究所の取り組みに関して、畝所長は、フィリピンなどの海外出稼ぎ者からの送金についての研究を紹介しました。送金されたお金の多くは現在、家計のために支出されていますが、これを貯蓄やビジネスへの投資に回すことができれば、将来のASEANの成長につながると話しました。

 

議論の成果は、2015年7月ごろ、主催者から政策提言の形で公表される予定です。

 

日時2015年5月11日(月) ~ 2015年5月12日(火)
場所インドネシア バリ



開催情報

開催日時2015年5月11日(月)~2015年5月12日(火)
開催場所インドネシア バリ

ページの先頭へ