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古川光明元上席研究員の著作が、第19回国際開発研究大来賞を受賞

2015年10月23日

古川光明元研究所上席研究員(現JICA南スーダン事務所長)による『国際援助システムとアフリカポスト冷戦期「貧困削減レジーム」を考える』(日本評論社)が、第19回国際開発研究大来賞を受賞しました。

 

第19回国際開発研究大来賞受賞作
第19回国際開発研究大来賞
受賞作

一般財団法人 国際開発機構(FASID)が主催する大来賞(おおきたしょう)は、国際開発の様々な課題に関する優れた指針を示す研究図書を顕彰するものです。賞は、1971年国際開発センター理事長、1973年海外経済協力基金総裁などを歴任し、1979年の第二次大平内閣において外務大臣を務めた大来佐武郎(おおきた さぶろう)氏を記念しています。

 

古川元上席研究員は、研究所において研究プロジェクト「開発援助レジームにおける財政支援の意義と限界」などに取り組み、その成果なども含めて、本書を執筆しました。

 

1990年代以降、貧困削減を共通の目標とし、援助国間で協調して援助効果向上の取組を一定のルールに従って行う体制「貧困削減レジーム」が形成されてきました。本書はこの「貧困削減レジーム」の歴史的な形成過程、受容度、有効性を分析し、特に同レジームの受容度の高いタンザニアにおける事例を取り上げています。「貧困削減レジーム」下における国際援助システムがどのように展開し、途上国とのドナー側のインターフェースや支援のモダリティがどのように変容したのか、また、いわゆる「プロジェクトの氾濫」が援助の有効性にどのような影響をもたらしてきたのか、実証的なデータ分析を行っています。タンザニアの事例では、現地調査で行ったインタビューなどに基づき、中国など新興ドナーの台頭も踏まえ、新たな資源獲得などの機会に応じて、援助の受け入れ態勢をとってきた途上国側の姿を描いています。

 

古川光明元研究所上席研究員(現JICA南スーダン事務所長)
古川光明元研究所上席研究員
(現JICA南スーダン事務所長)

著者は、開発援助効果の向上に向けては、ドナー側のロジックだけでなく、途上国のロジックを踏まえた国際援助システムの構築を目指すことが重要であると指摘しています。

 




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