JICA緒方研究所

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北野副所長がASEAN連結性強化の取り組み事例をバルカン各国に紹介

2015年11月5日

JICA研究所の北野尚宏副所長は、2015年10月24日にセルビアのベオグラードで開かれた国連平和大学欧州平和発展研究所(ECPD)の年次総会に出席し、ASEAN地域内の連結性強化に向けたJICAの協力と、バルカン地域における連結性の重要性について発表しました。

 

Bosnian Muslim and Bosnian Serb children
JICAのプロジェクトで開園した、
ムスリム系、セルビア系の両民族が集う幼稚園
=ボスニア・ヘルツェゴビナ、スレブレニツァ

今回の年次総会のテーマは、「グローバル化と地域統合の中の未来」。北野副所長とJICAバルカン事務所の阿部俊哉事務所長は、元駐ウズベキスタン大使の河東哲夫氏がモデレーターを務めたセッション、「ASEAN地域とバルカン地域の社会経済発展の比較」に登壇し、ASEANの経済統合に向けた日本の協力やバルカン地域での活動について、バルカン各国と共有しました。

 

バルカン各国や欧州各国の政府関係者や研究者らを前に、北野副所長は、継続的な経済発展を実現し、ASEAN各国間の発展の格差を埋めるには、地域内の連結性強化がカギとなると述べました。そして、ASEANが掲げる3つの連結性、「物理的連結性」「制度的連結性」「人的連結性」について、JICAとしての取り組みを具体的な事例を挙げながら紹介しました。

 

物理的連結性の例として挙げたのが、ミャンマー・タイ・ラオス・ベトナムを結ぶ東西経済回廊とミャンマー・タイ・カンボジア・ベトナムを結ぶ南部経済回廊です。JICAはこの構想実現のために港湾、道路、橋の建設を支援してきました。制度的連結性の例としては、インドネシアのジャカルタにある災害のモニタリングと分析の地域拠点、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)を紹介。人的連結性では、バンコクにタイ政府とJICAが設立したアジア太平洋障害者センター(APCD)を取り上げました。同センターでは障害者に関連する課題についての研修プログラムとワークショップを、域内を対象に実施しています。

 

阿部事務所長は、JICAの構想で実施されたボスニア・ヘルツェゴビナ平和構築支援プロジェクトを人間の安全保障と地域協力の面から説明しました。

 

総会では、河東氏と、セーシェル共和国初代大統領のJames Mancham、元オーストリア連邦副首相のErhard Busekが基調講演を行い、政治、経済、社会、人権問題、環境の課題など幅広いテーマが取り上げられました。バルカン諸国のEUへの統合やギリシャ危機後の欧州経済の見通し、難民・移民問題などが緊急の課題として関心を集めるなか、アジアやバルカンにおけるJICAの取り組みについても参加者の関心を引きました。

 

国連平和大学欧州平和発展研究所は、1983年の国連決議で設立され、教育(修士、博士課程)や平和と開発に関連する研究、セミナー開催、出版などに取り組んでいます。

日時2015年10月24日(土)
場所セルビア、ベオグラード



開催情報

開催日時2015年10月24日(土)
開催場所セルビア、ベオグラード

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