JICA緒方研究所

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「北東アジア開発協力フォーラム2015」をJICA研究所で開催

2015年11月13日

「北東アジア開発協力フォーラム2015」が10月31日、JICA市ヶ谷ビルで開催されました。日本、中国、韓国、ロシアなどを含む北東アジア諸国は、開発援助を受ける側と行う側の双方の経験を併せ持っています。この双方の経験を生かすために、互いの知見を共有し、協力の可能性について議論を交わす場として2014年から始まったのが本フォーラムです。地域内外の研究者らが、持続可能な開発目標(SDGs)と北東アジアの協力について話し合いました。

 

フォーラム参加者
フォーラム参加者

 

第1回のフォーラムは2014年、韓国・ソウルで、国連アジア太平洋経済社会委員会(UN-ESCAP)と韓国国際開発協力学会の共催で開かれました。第2回目の今回は、2015年がミレニアム開発目標(MDGs)の目標年であり、SDGsがスタートすることを受けて、SDGsを視野に入れた開発協力に焦点を当てました。UN-ESCAPと国際開発学会(JASID)、JICA研究所が主催し、北東アジア4ヵ国のほか、フィリピン、カンボジア、バングラデシュからも発表者を迎え、活発な討議が行われました。

 

フォーラムでは、山田滝雄外務省国際協力局長のあいさつに続き、主催3団体の代表がその挨拶で開催の意義に触れました。3者とも、2030年に向けて新しい目標SDGsがスタートするこの時期を特別で重要であると述べ、北東アジア地域がどう貢献できるのか、その討議の場としてのフォーラムへの期待を表明しました。

 

JICA研究所の畝伊智朗所長は、「SDGs達成のために何ができるかを考えなくてはならない」と述べ、「質の高い成長」がSDGs実現のカギとなると指摘しました。そして、JICA研究所では、「質の高い成長」についての研究を開始しており、研究活動を通じて目標達成に貢献したいと話しました。

JICA研究所の畝伊智朗所長
発表するJICA研究所の畝伊智朗所長

 

第1セッション「MDGs(ミレニアム開発目標)から SDGs(持続可能な開発目標)へ」では、UN-ESCAP北東アジア事務所長のKilaparti Ramakrishana氏をモデレーターに、元UN-ESCAP事務局次長で関西学院大学教授の村田俊一氏、NGO経験の長い聖心女子大学の大橋正明氏、モスクワ国際関係大学のDenis Degterev氏が、それぞれの立場、観点から、MDGsと比較したSDGsの特徴を説明しました。

 

この中で村田氏は、SDGsは経済の成長を強調しているが、貧富や資源の配分、教育には大きな格差があると問題提起。「成長をどう再分配するか、そのガバナンスが重要だ」と述べました。

 

続く第2セッションは「SDGs達成に向けた北東アジア諸国の開発協力の可能性」のテーマで、日本、中国、韓国、ロシアの研究者が、それぞれの国の状況を発表しました。国際開発学会の副会長でジェトロ・アジア経済研究所の山形辰史氏は、MDGsが途上国の取り組みを重視していたのに対し、SDGsでは途上国のみでなく先進国もかかわる「普遍性の原則」がコンセプトになったことを指摘しました。そして、北東アジアの国際開発にかかわる研究者らがそうした動きを注視していく必要性を述べました。

 

セッション3「開発金融の役割」では、JICA企画部の山田浩司参事役が、モンゴルでのJICAの事業を例に挙げながら、国内の財政資源の動員について説明しました。他の研究者も、多国間や二国間の借款や新たな開発金融機関の役割に関して発表し、開発のための金融政策や税制について議論が交わされました。

 

最後の第4セッションは「SDGs達成に向けた実施手段への政策提言」。ビッグデータの活用も含め、開発ナレッジとその共有の重要性に関する発表が行われ、活発な質疑応答となりました。

 

フォーラムを通じ、参加者の間では、北東アジアにおける開発協力の課題と今後の協力の必要性が確認されました。

 

日時2015年10月31日(土)
場所JICA市ヶ谷ビル



開催情報

開催日時2015年10月31日(土)
開催場所JICA市ヶ谷ビル

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