JICA緒方研究所

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「ミャンマー経済-その過去・現在・未来」発刊

2015年12月8日

2015年11月に民主的な選挙も実施され、その動向が注目を集めるミャンマー。その経済をテーマとした書籍『The Myanmar Economy-Its Past, Present and Prospects』(英語)が2015年11月、Springer社から発行されました。本書は、JICA研究所などの研究をもとに、ミャンマー経済を、社会的・歴史的背景を含めて分析したものです。

 

日本の協力で建設されたタケタ発電所(ガスタービン発電)
日本の協力で建設されたタケタ発電所
(ガスタービン発電)
(写真:久野真一/JICA)

ミャンマーでは長年、経済の停滞が続いてきました。しかし、民主化の進展とともに、外国の投資家、企業、国際協力機関などを中心に、豊富な天然資源や人的資源を持つミャンマーへの期待は高まり、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれることもあります。

 

一方、解決すべき困難は多く、国際社会からの協力も得ながら、現実的で戦略的な開発計画を立て、それに基づいて成長の工程を進めていくことが必要とされています。そのためにも、開発のロードマップ(工程表)作成に必要な、経済構造に関する正確な情報、社会的、歴史的背景も踏まえた総合的な分析などが求められています。

 

日本は、ミャンマーに対する協力を長く継続して行ってきました。その一環として、JICAは2000~2003年、日本の有識者とミャンマーの政府高官らによる共同調査・研究「ミャンマー国経済構造調整政策支援調査」を実施しました。また、そのフォローアップとして、JICA研究所は2008年から2010年研究プロジェクト「ミャンマー経済の現実と課題」を実施しました。

 

本書の編者、尾高煌之助一橋大学・法政大学名誉教授はこれら共同調査及び研究プロジェクトの代表を務めました。また、JICA研究所の研究プロジェクトの成果は、既に、尾高教授が編者としてまとめた日本語書籍『ミャンマー経済の新しい光』(2012年9月、勁草書房社)として刊行されています。本書は、その後の動きや新しい知見を加えて、大幅に改定増補されました。

 

本書では、近年の動きと独立後の経済政策について、過去の文献をレビュー。そのうえで、ミャンマーの経済成長のカギとなる5つの分野-マクロ経済と金融、社会資本整備、農業・農村開発、製造業と工業化、中国との経済関係-に関する実証研究を掲載しています。尾高名誉教授は、序文(Preface)で、「この5つの実証研究はロードマップ作成に欠かせない材料を提供している」と述べています。

 

また、田中明彦前JICA理事長は序文(Foreword)で、「この本はミャンマーの人々やリーダー、そして彼らを支援する人々にとって重要な示唆を示すもの」と書いています。




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